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2006年02月16日(木) 12時01分

ニュースプリズム:「錦増」取り込み詐欺事件 潜伏メンバー、再び画策 /茨城毎日新聞

 03年6月に発覚した住宅リフォーム会社「錦増」=水海道市(現常総市)森下町=による取り込み詐欺事件では、被害は半年で約90社、3億円以上に上った。詐欺グループは数十人いるとみられ、北海道や沖縄などで社名やメンバーを変えて詐欺を繰り返してきたが、限られた証拠に捜査は難航した。2年半余りに及んだ捜査の裏側を追った。【長野宏美】
 ◇逮捕で被害拡大防ぐ
 「奥野さんだな」。今年1月24日朝、大阪市内のマンション。自室からエレベーターを降りてきた元外渉部長(58)に、髪がぼさぼさの県警捜査員が茨城弁で声を掛けた。捜査員は車で寝泊まりしながら張り込みを続け、路上生活者のような風ぼうになっていた。
 元外渉部長は、捜査員が確認用に持っていた写真の顔つきより少し太っていたが、捜査員は「あの額のほくろは間違いない」と確信した。捜査員の問いかけに、元外渉部長は「はい」と答えて手を震わせた。「残りも一気にいくぞ」。翌25日午前4時、捜査員60人が捜査本部がある常総署に集合。東京、埼玉、栃木に潜伏していた元社長(47)や社員ら計7人を詐欺容疑で次々に逮捕した。
   ◆   ◆
 県道沿いの事務所に「錦増」が移転してきたのは02年11月。「20周年キャンペーン」などと派手な広告を出し、不況にあえぐ業者を取り込んだ。受注工事の手付金を先に受け取り、下請け会社には工事完工の翌月払いの契約を結ぶ。顧客への「景品」として電化製品などを大量に仕入れた。
 初めは小口の取引で信用させ、逃亡直前に大量発注して未払いを残したまま行方をくらます。支払いを催促されると「新しい事務所を開設する」などと言葉巧みに先延ばしにしていた。
 被害に遭った下請け業者の男性は「仕事を見に来ないので不審に思ったが、不景気の中、仕事を世話してくれるのはありがたかった」と振り返った。取り込み詐欺の立件は容易ではないと言われる。県警幹部は「被害が表面化した時には行方が分からず、証拠も処分されている。限られた証拠では立件が難しい」と苦渋の表情で話す。
   ◆   ◆
 本人と特定したり、所在をつかむまでも容易ではなかった。家宅捜索で押収したパスポートや他人名義の通帳などから、メンバーが偽名を使っていたことが判明。6人は栃木や埼玉県内に潜伏し、残る1人が関西にいるという情報を得た。今年1月初め、大阪市内で元外渉部長の車を発見。トランクから電子レンジを取り出して部屋に運び入れる姿が目撃された。
 県警幹部は「何人かは他県で同様の取り込み詐欺の準備を進めていた。逮捕していなかったら、被害がどれだけ広がったか計り知れない」と語る。県警は14日に7人を同容疑で再逮捕、新たに2人を逮捕し、全容解明を進めている。

2月16日朝刊
(毎日新聞) - 2月16日12時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060216-00000065-mailo-l08