悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年02月09日(木) 00時00分

新しいネット商法“ドロップシッピング”は在庫なし・発送せず・集金せずでリスクなし読売新聞


 日本で初めてドロップシッピングを紹介した富田貴典さんの「日本人が知らなかったネットで稼ぐ新手法 ドロップシッピング」(翔泳社)、1575円

 商品在庫を持たず、売れた商品の発送もせず、代金回収の必要もなくネットでもうけられる——新手の詐欺か、悪い冗談としか思えない新種のネットビジネス「Drop Shipping」(以下、DS)をご存じだろうか?

 アメリカなどでは数年前から広がり始め、日本でも解説本が出版された。アフィリエイトに続くネットビジネスとして注目を集めそうだ。

 アフィリエイトと大きく異なるのは、自前の商品を販売する点。アフィリエイトは、他人の商品を自分のサイトで紹介し、客がリンク先の販売サイトを訪れて商品を購入すれば、サイトの主宰者に報酬が支払われる。成果報酬型の広告である。

 一方、DSはネットショップ業者や個人による無在庫の商品販売だ。サイトに商品の注文が入り、入金の確認後に、メーカーや問屋などの仲介業者から商品が発送される。代金の決済、回収も業者が代行し、販売額と仕入れ値の差額がサイト主宰者に送金される。

商品の価格は自由に決める

 在庫を抱えずに済むので、商品を仕入れる手間、在庫管理・金利などのリスクは皆無である。

 DSのもう1つの魅力は、商品価格を自由に決められる点だ。売れ行きが悪ければ値段を下げてもよい。ホームページの見栄えをよくしたり、商品の種類や値段を変えたりできる。モチベーションが高まるのはいうまでもないだろう。

 能書きはさておき、本当にもうかるのか? 「日本人が知らなかったネットで稼ぐ新手法 ドロップシッピング」(翔泳社)で、日本で初めてDSを紹介した富田貴典さん(26)に素朴な疑問をぶつけてみる。すると、「毎月50万〜70万円は稼いでいます」と驚くべき答え。富田さんのサイトでは、漢字に興味を持つ外国人向けに英単語の意味を表す漢字の画像データや「侍」「外人」などどプリントされたオリジナルのTシャツ、帽子などを販売している。

海外の仲介業者が頼り

 「ネットにつながったパソコンさえあれば、30分でDSサイトを開設できます」(富田さん)とはいうものの、DS仲介業者は日本にはなく海外業者と契約するしかない。しかも作ったサイトは英文なので海外の顧客が相手になる。国内をターゲットにサイトを開設しようにも、インフラ(基盤)がないのが現状だ。

 だがここにきて、通販サイト向けではあるがDS仲介企業が設立された。インターネット専門の広告代理店「サイバー・コミュニケーションズ」と物流支援業の「サイバーファーム」による合弁の「エムディー・インタラクティブ」がそれである。雑誌や新聞などのメディア企業が通販サイトを運営する際、商品やシステムの開発、提供を一括で請け負う。

 商品の在庫管理、発送を外部に委託するシステムは、個人向けDSと基本的には同じだ。サイバー・コミュニケーションズ新事業推進本部長の新澤明男さんは「ブランド力のあるメディアの方が集客力がある」として、当面は企業向けのサービス提供しか考えていない。ただ、時期は未定だが有名ブログ主宰者や個人のネット通販事業者向けの事業展開も計画している。同社のほかにネット企業大手が個人向けDS事業に参入する動きもあり、案外早く日本でもDSが流行するかもしれない。

 そのときに期待したいのは、個人・企業、国内外の枠を越えたネットビジネスの拡大である。例えば、日本国内で販路を探しあぐねている優良な地場産業品が個人のDSサイトで、海外で高い評価を得ることもあるだろう。今後の展開が注目される。(編集部 林 宗治/2006年1月24日発売「YOMIURI PC」3月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20060209nt05.htm