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2006年01月27日(金) 15時06分

<サリドマイド>個人輸入をネット監視 厚労省が薬害防止へ毎日新聞

 1950〜60年代に世界的薬害を起こした鎮静・催眠剤「サリドマイド」が、がんなどの治療目的で大量に個人輸入されている問題で、厚生労働省は5月から、薬害の再発防止のためにインターネットを活用した「サリドマイド使用登録システム(SMUD)」の運用を開始することを決めた。サリドマイドに関しては04年末に関係学会が適正使用ガイドラインを作ったが、臨床現場では必ずしも徹底されておらず、同省は医師らに患者情報の登録を呼びかけ、使用状況を常時監視できる体制作りを進める。
 SMUDは、サリドマイドを個人輸入する医師らに患者の年齢や病名、使用量などをインターネット上の入力画面に登録してもらい、国立大学病院のネットワーク組織「大学病院医療情報ネットワーク」(UMIN)が内容をチェック。重大な副作用が発生した場合はただちに厚労省に報告するなどの対応をとる。
 04年末に作成された適正使用ガイドラインも医師にファクスやメールで患者情報を登録するよう求めたが、登録患者数は278人(昨年12月7日現在)にとどまっている。04年度のサリドマイドの個人輸入量は約53万8500錠に達しており、登録者は全体の使用者の一部と見られる。
 同省はSMUD運用に際しては登録漏れをなくすため、個人輸入に必要な薬監証明を医師が取得する際、併せて登録の同意も取り付けるなどの方法を検討している。
 サリドマイドを巡っては、昨年12月、埼玉県立がんセンターの医師がガイドラインの内容をほとんど守らず、280錠のサリドマイドを患者に渡していたことが毎日新聞の調べで判明。サリドマイド被害者らで作る財団法人「いしずえ」は「薬害の再発は絶対許されない」として、SMUDの登録を義務化に近い形で制度化する▽登録の内容は最低でも月1回は公表する——などを求めていく。【須山勉】
 ◆サリドマイド個人輸入
 国内で承認されていない医薬品でも、販売を目的としなければ個人輸入ができる。サリドマイドは服用した妊婦から手足の短い子が相次いで生まれたため、日本では62年に販売が中止されたが、血液がんの一種である多発性骨髄腫に効果があるなどの研究報告が海外で出され、個人輸入量が毎年増加中。サリドマイド被害者は厚生労働省に厳重管理を求める要望を繰り返している。
 ◇「責任薬剤師」3割で不在…いまだに不十分な管理体制
 世界的薬害を起こした鎮静・催眠剤「サリドマイド」が大量に個人輸入されている問題で、サリドマイドを患者に投与している医療機関の約3割で「責任薬剤師」を置いていないことが、厚生労働省の行ったアンケート調査で分かった。04年に同省などが作成した「サリドマイドの適正使用ガイドライン」は薬剤の管理を徹底するため責任薬剤師を置くよう定めているが、いまだに十分な管理体制が取られていない実態が浮かんだ。
 アンケート調査は昨年7〜12月、サリドマイドを個人輸入する際に必要な「薬監証明」を取得した医師177人から回答を得た。
 ガイドラインの順守状況については、ほとんどの医師が順守していると答えたが、2人は「順守していない」と回答。責任薬剤師を置いていると答えたのは約7割に当たる124人にとどまり、ガイドラインが定めている日本臨床血液学会への患者情報登録も「登録をしている」と回答したのは63人で、全体の36%に過ぎなかった。
 また、同省は355人の医師に調査票を配布したが、約半数の医師しか回答せず、同省医薬食品局の中垣俊郎・安全対策課長は「臨床現場が忙しいことや個人輸入の手続きは輸入代行業者に任せている背景があるのではないか。5月から運用予定のサリドマイド使用登録システム(SMUD)では、なるべく円滑に登録が進むよう検討していきたい」と話している。【須山勉】
(毎日新聞) - 1月27日15時6分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060127-00000072-mai-soci