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2006年01月14日(土) 05時08分

投資向けマンション販売会社 脱税指南で購入促す 架空経費計上し不正還付産経新聞

 「節税効果」を売り物にした個人向けの投資用ワンルームマンションの販売が過当競争になる中、東京都新宿区のマンション開発業者が、購入者に架空経費の計上による所得税の不正還付を指南していたことが関係者の話で分かった。購入者は公務員など「お堅い職業」の人が多いという。不正還付は悪質な脱税行為で、購入者は追徴課税の対象にもなるが、一件ごとの不正還付額が少額なため、指南した業者の責任追及は困難だという。関係者から「悪質な指導を野放しにすべきでない」と批判の声も出ている。
 税法上、不動産所得を申告する際に、ローンの金利や建物部分の減価償却費は必要経費として収入から差し引くことができる。
 関係者によると、この業者はマンション購入者に、室内を修繕したとする架空の領収書を提供したり、本来必要のない経費を計上するなどして、必要経費を過大に装う手口をアドバイスしていた。
 購入者は所得税の確定申告の際、不動産所得が赤字になったとして給与所得など他の黒字所得から差し引くよう申告し、数万円から二十数万円の還付を受けていた。購入者は地方都市に住む公務員や教員が多かった。
 不正還付の脱税指南事件では、東京国税局が平成十年、賃貸マンションの契約を仮装して二年間に約三千万円の所得税の不正還付を受けさせたとして、不動産業者を所得税法違反(脱税)の共犯として告発した例などがある。しかし、今回のようなケースは脱税額が少額なことなどから、指南した業者が罪に問われることは少ないという。
 所得税に詳しい税理士は「業者は価格競争で少しでも値引きしようと、不正還付を思いついたのだろう。購入者の税金の知識の少なさにつけ込んだ悪質な手口だ」と批判している。
 この業者は、設立当初は投資用中古マンションの販売が中心だったが、都心の一等地に近い住宅地に新築したワンルームマンションの販売を始めて急成長。ホームページ上では、「節税効果」「年金対策」「高利回り」などの購入メリットをうたっている。
     ◇
 ■しつこい勧誘「一般層」まで
 投資用ワンルームマンション業界はここ数年、競争が激化して営業マンのしつこい勧誘が問題になっている。
 インターネット上には、不動産投資勉強会の案内や投資物件専門の紹介サイトが数多く登場。「年金対策」「節税策」「高い利回り」といったメリットが並ぶ。「富裕層」がターゲットだった不動産投資は、サラリーマンや公務員などの「一般層」にまで広がっている。
 国民生活センターによると、「新築・中古マンションなど集合住宅の強引な電話勧誘」の相談件数は、平成十四年度の九百五十三件から、十六年度は千五百五十六件に増加。今年度に入っても計千百五十八件の相談が寄せられている。営業マンが勤務先にまで勧誘電話をかけてくるといった相談が多いという。
 東京経済大学コミュニケーション学部の山田晴通助教授は昨年から、業者の勧誘電話の情報を自身のホームページで公表している。業者は大学の学会関係の名簿や高校の同窓会名簿などを頼りに電話をかけており、山田助教授は「公務員や教員は、金融機関の融資可能残高が多く、勧誘されているようだ」と分析している。
 不動産関係者は「低金利の今、不動産投資のメリットは決して小さくない」と強調する。営業マンはメリットばかりを強調しがちだが、金融専門家は「将来の金利上昇や資産価値の低下、空き室問題などリスクもある」と警告している。
(産経新聞) - 1月14日5時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060114-00000020-san-soci