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2005年12月21日(水) 00時00分

耐震強度偽装 再発防止へ対策を 東京新聞

 新潟県中越地震が発生した昨年十月。取材のため、新潟県内のビジネスホテルに短期間宿泊した。時折、激しく揺れるホテルで「いつか倒れるのでは」と不安に駆られ、眠れない日々が続いた。地震でぺしゃんこになった住居前で呆然(ぼうぜん)と立ちつくし、仮設住宅での生活を余儀なくされた被災者にも出会った。「わたしたち、これで生きていけるのでしょうか」。悲痛な叫びを聞いた。あの住民たちの表情が脳裏に焼き付き離れない。あれから一年、マンションやホテルの耐震強度偽装事件が発覚し、大地震への潜在的な不安は深まったように思える。

   ◇   ◇

 全国で構造計算書の偽造が判明し、住民らが家を追われ、ホテルは休業に追い込まれた。

■「信頼揺らいだ」

 本県でも姉歯秀次元建築士らが設計に関与した渋川、伊勢崎、前橋のビジネスホテルで構造計算書の改ざんが次々と発覚し、営業を休止した。建築業界への不信感は広がり、群馬建築士会の関係者からは「建築士自体の信頼が揺らぎ、世間からは疑惑の目で見られるようになった」との嘆きも聞いた。

 偽造を見過ごしてきた自治体の建築確認の甘さも表面化した。関係者は「国認定の構造計算ソフトを信頼しきっていた。構造のプロが偽造するとは思わなかった」などと異口同音に説明。当事者の自治体では構造計算ソフトの導入や税減免措置など早期に対策に踏み切ったが、それ以外の自治体の対応は、まだ後手に回っているようにみえる。ある自治体関係者は「細かいところまで偽造された構造計算を見抜くには、自治体ではハードルが高い」と説明したが、今のところ対策は講じていないという。

   ◇   ◇

 ずさんな構造計算書をつくり、あるいは見逃し続けた関係者は、国会の参考人招致や証人喚問で、自分たちこそ被害者と言いたげで、無責任な言い訳ばかりが目についた。住民らの神経を逆なでする当事者意識のなさが異常に映った。発覚以来、記者も「住みたい」「泊まりたい」と思うマンションやホテルはあっても、今では「ここは大丈夫なのだろうか」との疑念が先立つようになった。二十日には、警視庁などが関係先の家宅捜索に踏み切った。

■大地震への不安

 耐震偽装が県内でも発覚したことで、住民や行政が身近な問題として危機意識を持つきっかけになったはずだ。明日、大地震がこない保証はない。問題の再発防止に向けて動き出さなければ、中越地震で目にしたような惨状が、姿を現さないとは言い切れない。 (神野 光伸)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/gnm/20051221/lcl_____gnm_____000.shtml