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2005年12月21日(水) 00時00分

ウソですり抜け… 99年、福岡市が姉歯氏に疑問指摘 東京新聞

 姉歯秀次元一級建築士(48)による耐震強度偽装の被害がいまだに広がる中、事件の本格解明が始まった。不正の構図の中心にいる姉歯氏の自宅でも、関与を否定し続ける多くの会社でも、空前の大捜索が二十日午後まで続いた。今後は建築基準法違反容疑だけでなく、詐欺容疑の立件も視野に捜査は進む。登場人物たちの何が問われるのか、関係者の話をもとに検証する。 

 パソコン、プリンター、段ボール十一箱…。

 姉歯氏の事務所があった千葉県市川市の自宅。捜査員が押収物を抱え、運び出す。二十日午後零時二十分すぎ、家宅捜索に立ち会った姉歯氏が玄関に姿を見せた。一瞬、顔をこわばらせ、横付けされたワゴン車の後部座席に素早く乗り込むと、車はすぐに走り去った。

 「姉歯さんだけでやった事件じゃない。警察には全容を明らかにしてほしい」。姉歯氏を知る近所の主婦は、報道陣がほとんど引き揚げ、静寂が戻った住宅街で語った。

    ◇

 一九九九年夏、福岡市役所五階の建築審査課の部屋。姉歯氏は同市の担当者と向き合っていた。

 同市博多区に計画中だったワンルームマンション「ダイナコート・エスタディオ県庁前」の構造計算を担当。建築確認申請の段階で市が「構造計算に疑問がある」と、姉歯氏を呼び出したのだ。

 元請け設計の北九州市の設計事務所は、姉歯氏のことを覚えていた。「うちの担当者が市役所まで案内した」

 建物を施工したのは木村建設(熊本県八代市、破産)。当時、姉歯氏の仕事の九割が同社がらみと得意先だった。「構造計算は当社の工法を熟知している建築士に任せてほしい」。木村建設はそう言って設計事務所側に姉歯氏を紹介したという。

 当時、姉歯氏が市に何を指摘されたのかは不明だ。「当時の記録が残っていない。しかし、建築確認の審査過程で疑問があったのだろう」と、同市建築審査課は言う。

 このマンションの耐震偽装が今月六日、発覚。構造計算書では、建物の重さが実際の八割ほどに改ざんされていた。最も弱い一階部分は耐震基準の約六割しかなかった。姉歯氏が市に真実の説明をしていれば市が偽造に気付いたことになる。口頭でも虚偽の説明をしていた疑いが深まる。

 姉歯氏の偽装は、九八年七月に建築確認が出されたマンション「グランドステージ池上」(東京都大田区)から始まったとされる。それからの約七年間。偽装の手口は、計算書の柱や梁(はり)の鉄筋の数値を部分的に増やす巧妙なものから、正規の外力(地震の力)を入力した計算書と大幅に数値を減らしたものを組み合わせただけと、単純でずさんなものに行き着いた。

 耐震強度も常軌を逸する。十月に入居が始まったマンション「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)では、耐震強度が基準の約15%にまで落ち込んでいた。

 妻の病気に加え、偏った得意先からの圧力。「ほかにも(設計)事務所はある」と言われ、収入減を恐れた−。さまざまな要素が連鎖し、行政担当者を前にしても見破られなかった構造計算書の偽造にまっしぐらに突っ走った。そして一人の一級建築士は誇りを失った。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051221/mng_____sya_____010.shtml