悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年12月10日(土) 00時00分

構造計算書 ソフト利用でも偽造 東京新聞

 耐震強度偽装事件で、全国の自治体や民間の検査機関が審査する年間約十五万棟分の構造計算書のうち、国認定ソフトで計算した時に認められる「計算過程の審査省略」制度が、数%しか利用されていないことが十日、国土交通省の調べで分かった。また、検査機関への立ち入り検査で、国認定ソフトで巧妙に偽造された構造計算書が確認され、制度の形がい化にとどまらず、認定ソフトでも構造計算書が偽造される危険な実態が明確になった。三十年近く続く認定制度の信頼は、根底から揺らぎ始めた。 

 国交相認定ソフトを使用した構造計算書の審査省略制度は、数百ページ分の計算過程の審査を省き、建築確認業務のスピードアップが目的。制度を利用する検査機関などは、大臣認定書の写しが添付されているかなど数項目の確認をしなければならない。だが、国交省の調査で、年間約十五万棟の構造計算書の90%以上で認定書添付などが守られていないことが判明。多くの自治体や検査機関が「計算過程を省かずに審査している」などと、“言い訳”ともとれる回答をしたが、「精査」したはずの自治体や検査機関で、姉歯秀次元一級建築士(48)による数値改ざんの見逃しが相次いで発覚。建築確認業務への不信感が広がっている。

 民間最大手の「日本ERI」(東京都港区)は「姉歯元建築士が用いた認定ソフトで出力したデータを市販の文書編集ソフトにコピーして数値を改ざんし、元の認定ソフトに戻すと本物そっくりの計算書を偽造できる」と指摘し、「高度な偽造で見抜けなかった」と釈明している。

 国交省は、完全に偽造を防ぐソフトの開発はコスト面から難しいとみており、認定ソフトに与えている省略制度の見直しに着手。同時に、偽造防止の実効策として、▽着工前にマンション購入予定者らでつくる仮の管理組合が、別の構造専門建築士に図面や計算書を分析させる制度の創設▽構造部分の施工途中で、構造計算書の作成者らに図面通りか否かを一定回数検証させることの義務化−などを検討している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051210/eve_____sya_____006.shtml