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2005年12月07日(水) 00時00分

販売業者にも法の網 悪質業者の監視強化を 東京新聞

 個人事業者を狙った悪質な電話機リース商法をめぐり、経済産業省が六日、事業主名の契約でも一定条件下でクーリングオフ(無条件解約)できることを明確にした通達を出したが、消費者行政に詳しい専門家からは、「画期的だ」と評価する声が聞かれた。販売業者を特定商取引法(特商法)上、行政処分の対象となると明確に規定した点は、今後、悪質営業に対する抑止力になると期待されている。 

 東京経済大教授(消費者法)の村千鶴子弁護士は「リース提携販売のようなケースでは、リース会社と販売会社が一蓮托生(いちれんたくしょう)で契約内容に責任を持つようにしたのは画期的だ」と通達を評価する。

 これまでは、リース会社に対して「(販売会社に)だまされた」と訴えても、リース会社側と結んだ契約書には、リース会社が販売会社からいくらで電話機を購入したかの記載もなかった。電話機本体について市場価格の十倍でリース契約を結ばされていたと分かっても、リース会社には「電話機を高額で販売している販売業者が悪い」と言い逃れられ、販売会社には「うちはリース契約に責任はない」と訴えを無視された。

 実態はリース会社も販売会社も一体となった詐欺行為なのに、責任追及が難しかった。その点、今回の通達では販売会社にも責任が及び、行政処分の対象となる。

 しかし、一方で村弁護士は「特商法が適用除外とする『営業』の解釈があいまい。玉虫色の印象も残った」と指摘。「電話機の売買にかかわる業者以外はみな、特商法の対象だと明確にすべきだ」と注文する。

 悪質リース訴訟にかかわってきた山田裕祥弁護士も、通達の文言にある「電話機の使用が主として個人用・家庭用のものであった場合」に適用されるとの点に注目。「零細事業者だと、使用目的を線引きするのは難しい。リース業者側が逆手に取って交渉能力の低い契約者側に立証を求めてくるケースもありうる」と推測する。

 クーリングオフが殺到した場合、悪質業者がまともに応じるかどうかという問題も残る。村弁護士は「彼らはもともとルールを守るとやっていけない業者なのだから、監督官庁は業者の営業実態など経過をよく見て行政処分を出してほしい。強硬に詐欺集団をつぶしていかないと、次の被害者が生まれるだけだ」と話している。

 ■個人事業者ら反応さまざま

 公表された通達など救済策について、すでにリース契約をした個人事業者の反応はさまざまだ。

 東京都内でクリーニング店を経営する男性(70)は、「大賛成だ」と歓迎する。五年前、NTTマークの付いた販売員の名刺を見て電話機を七年間リース契約した。すぐに「総額が高額」で販売員がNTT職員でないと気付いた。残額が十万円を切った今年十月にやっと精算した。「経産省も今回、リース商法のおかしさを認めて対策を出した。だますように契約を取った場合もあり、警察も積極的に取り締まってほしい」と話す。

 また、静岡県でインテリア関係の事業を営む五十代の女性は「主として電話機を家庭用で使用した場合は救済する、と言われても住まいと職場が一緒で区別が付けづらい」として、より明確な救済策を要望している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051207/mng_____sya_____007.shtml