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2005年11月23日(水) 00時00分

姉歯“震災”影響どこまで 構造計算書偽造で各自治体 耐震性に重大な問題があるとされた「グランドステージ藤沢」 東京新聞

 マンションの建築確認に偽造した構造計算書が使われた問題で、偽造した千葉県市川市の「姉歯建築設計事務所」がかかわった建築物が県内二十一カ所に上り、影響の拡大が懸念されている。震度5強程度で倒壊の恐れがあると判明したのは横浜、川崎、藤沢の三カ所だが、各自治体は「ほかにも強度不足の建築物がある可能性もある」と戦々恐々で、独自に耐震度を再計算している自治体もあるほか、公営住宅などへの受け入れ準備も進めている。 (耐震強度偽造問題取材班)

 同事務所が偽造を認めているのは、県内で横浜、川崎、藤沢の完成済み三棟と相模原の未着工一棟の計四カ所。しかし、都内では偽造を認めた建築物以外に同事務所がかかわったホテルで改ざんの疑いがあり、営業休止に追い込まれた。

 同事務所がかかわった県内二十一カ所の内訳は、横浜九カ所、川崎五カ所、厚木四カ所で、藤沢、相模原、平塚が各一カ所。完成済みは十八カ所で、工事中は二カ所、未着工は一カ所だった。

■横浜市

 横浜市の電話相談窓口には二十二日早朝から、「うちのマンションは大丈夫か」「姉歯がかかわっていないか」との問い合わせが殺到した。

 市は国土交通省が震度5強程度で倒壊の恐れがあるとした鶴見区のマンション「コンアルマーディオ横濱鶴見」のほか八棟でも、独自に構造計算と耐震診断を進めており、強度に問題があると判明した場合には住民に説明した上で一般に公表するとしている。

 市の担当者は、「鶴見以外にも問題があるかもしれない」と不安な様子。当面住民を受け入れる市営住宅も鶴見のマンションの二十戸分を確保するが、他のマンションで問題が発覚した場合に備え、対応を急いでいる。

 横浜、川崎、藤沢で問題となったマンションの建築主「ヒューザー」(東京都千代田区)は、「自力での建て替えは不可能で、公的な支援を受けて建て替えたい」との意向を示している。

 これに対し横浜市は、「考えていない。今回の問題はあくまで民間同士の話で、市としては指導やアドバイスはできるが資金支援は難しい」とする。

 民間の検査機関が行った建築確認でも自治体の事務だとする判例もあるが、市は「自治体が受け取るのは、簡単な建築計画概要書だけだ」として責任はないとの立場。公営住宅への入居費や引っ越し費用なども、今のところは免除の考えはないという。

 相談窓口は、市建築指導課=電045(212)3711。

■厚木市

 厚木市内で新たに同事務所が関与した可能性が分かったのは、マンション三棟と建設中のホテル一棟。市は、同事務所が実際に設計に携わったか調査を始めたが、マンション名などについては「関与も危険性もはっきりしない段階で、公表すれば居住者を混乱させる」として公表を控えた。

 この日、建て主が民間の確認審査機関に提出した建築確認申請書の確認を行い、ホテルについて、同機関に問い合わせたところ、同事務所が構造計算書の作成に関与していたと回答があった。

 マンション三棟は申請書の保存期間三年を過ぎていたため、同事務所の関与は確認できなかった。現在のところ、市に対して、住民からの問い合わせなどは寄せられていないという。

■藤沢市

 藤沢市は二十二日、耐震性が問題となっているマンション「グランドステージ藤沢」の住民への説明会を二十七日に行う方向で調整していると明らかにした。

 市建築指導課には同日もマンション住民から数件問い合わせがあり、マンションを出た際に手当てされる住宅や、今後の説明会の日程について尋ねたという。うち女性一人はマンションから出ることを決め、仮住まい先の公営住宅などに、どんな場所のどんな物件があるかなどの情報を求めた。

 市は現在、一回目の不渡りを出した施工業者の木村建設(熊本県)にも、工事状況や安全性について報告を求めているが、電話では連絡がつかない状況という。「報告の期限は二十四日。それまでに相手から連絡が来ることを願っているが、こちら側も連絡を付ける努力を続けたい」とした。

 相談窓口は、市建築指導課=電0466(50)3539。

■平塚市

 平塚市内で同事務所の関与が分かったのは、JR平塚駅北口近くのホテル。市建築指導課は、市に保管している関係書類を再チェックし、危険性の有無を調べている。二十五日の昼をめどに結果を出したいとしている。

■県 

 松沢知事は二十二日の定例記者会見で、対象となる県内の建築物二十一件について市ごとの内訳を公表し、「各特定行政庁(市)に確認作業をお願いした。今後も連携を図りながら、危険性が確認され次第、順次公表したい」と述べた。

 知事は県の取り組みとして「転出を希望する住民への対応を準備中」と話し、欠陥が確認された場合、そのマンションの住民が公営住宅に一時的に入居できるように、県市町村営の住宅などの空き状況を調査していることを明らかにした。

 また県認可の民間の指定確認検査機関二社に対して「偽造が見抜けないことがないように、きちっとした確認検査を行ってほしい」と述べ、検査の徹底などを指導する考えを述べた。

■川崎市

 川崎市は二十二日、対策会議の第一回を開き、川崎区内のマンションの住民支援のため、早急に対応していくことを確認した。

 市は二十日の住民説明会で、住民から建築士・弁護士や代替住居の紹介などの要望を受けていた。市まちづくり局によると、説明会直後から関係局と連絡をとり、支援策の検討を進めている。

 この日の会議は、情報の共有や各部署の取り組み状況を確認するため開催。同局がこれまでの経過や住民からの要望について説明し、各部署が進行状況を報告、今後の支援の進め方について話し合った。

 一方、姉歯秀次一級建築士が設計に携わった市内の建築物は、川崎区のマンション以外に四棟あることが判明したが、同局は「姉歯建築士が偽造していないと話しているので、大丈夫だと考えている。だが、国からの要請もあり、市でも構造計算書を再チェックしている」としている。市の相談窓口は、市建築審査課=電044(200)2111。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20051123/lcl_____kgw_____003.shtml