悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年11月22日(火) 14時49分

ソニーBMGのrootkit CD問題、売上への影響は軽微--米調査会社発表CNET Japan

 ソニーBMGは、一部のCDに採用したコピー防止用ソフトウェアが原因で大きな批判を浴びており、一部では同社に対する訴訟も起こされているが、それでもいわゆる「rootkit」をめぐる論争は今のところ同社の売上に影響を与えていないと、ある市場調査会社が述べている。

 ただし、ソニーBMGに対する圧力が強まっていることは確かだ。テキサス州検事総長のGreg Abbottは米国時間21日、ソニーBMGがコンピュータのハードディスク内に身を潜めるrootkitソフトウェアを密かにインストールするアルバムをリリースしたことは、同州の新しいスパイウェア対策法に違反するとして同社を提訴した。rootkitはPCをウイルスなどの悪質なコードに対して無防備にしてしまう。

 Abbottは声明のなかで、「ソニーBMGは、秘密のファイルをコンピュータに潜ませることで、消費者に対するハイテク版のスパイ活動に従事した。同社のCDを購入した消費者は楽曲を買ったつもりだったが、彼らが受け取ったのは、コンピュータに害を及ぼし、マシンをウイルスの危険にさらし、消費者を身元詐称犯罪の危険にさらす可能性のあるスパイウェアだった」と述べている。

 Abbottの対応は、この問題に対する一連の抗議の最新例となる。これに関しては、ネット上や各方面でこれまでに一連の抗議活動が展開されてきており、その結果ソニーBMGは470万枚以上という前代未聞のリコールと、210万枚の販売済み商品の交換を余儀なくされた。

 しかし、批判や不買運動の呼びかけが3週間も続く一方で、消費者らは今も以前のようにソニーBMG製CDを購入し、利用しているようだ。

 市場調査会社Nielsen SoundScanがまとめたデータによると、コピー防止用ソフトウェアが搭載されたソニーBMG製CDの売上は、ほとんどもしくはまったく減少していない--少なくとも同社が先週リコールに踏み切る前まではそうだったという。

 Nielsen SoundScanのデータによると、この問題の影響を真っ先に受け、その範囲が最も広かったのは、サザンロックのアーチストVan Zantの「Get Right with the Man」だったが、実際にはCDのセキュリティリスクが明らかになったあとの2週間は売上が伸びたという。また、Celine Dionのアルバム「On Ne Change Pas」の売上は、今回の論争が巻き起こってからも1週間あたり300枚と堅調に推移している。

 発売から比較的日の浅かったTrey AnastasioやChayanneなどのアルバムのほうが、同期間中に大きな落ち込みを見せた。だが業界関係者によると、アルバムのリリースから間もない場合、週間単位での売上の落ち込みは珍しくないという。

 アルバムの人気を測るもう1つの基準がGracenoteの提供するサービスだ。同社が提供するCDDB(Compact Disc Database)サービスは、iTunesやWindows Media Player、RealPlayerといったメディアプレイヤーを使って、コンピュータでCDが再生された回数を計測している。これらのプログラムは、アルバム名と曲名を自動的に参照するようになっている。

 Gracenoteの関係者によると、同社のデータからは、数値の傾向に目に見えるほどの変化はなく、またVan Zantのアルバムと、同様の売上を記録したrootkit未搭載アルバムとの間に大きな差はないという。ソニーBMGがリコールしたほかの複数のタイトルについても同じことが言えると同社は指摘している。

くっきりと分かれる反応

 あるCDにrootkitが搭載されているという情報は、タイトルごとに広がるタイミングに差が出た。Van Zantのアルバムにrootkitが搭載されているという情報は11月1日までに伝わった。だが、AnastasioやCeline Dionのアルバムへの搭載は、その1週間後にElectronic Frontier Foundationがリストを配布するまで明らかにされず、またChayanneのアルバムをはじめとするほかの数十タイトルについては、先週ソニーBMGが公表したことで、やっと明らかになった。

 一方、ネット上での反応はすさまじい。Amazon.comが扱うVan Zantのアルバムには、多くのレビューが寄せられ、抜粋された255件が公開されているが、これらを見るとソニーBMGのニュースに対する怒りの声が明らかになってくる。

 Amazon.comのVan Zantページの先頭に目立つように表示された消費者のレビューには、「購入するな--PCに危険なソフトウェアがインストールされてしまう」とある。この書き込みは、評価した745人中741人が「helpful(役に立った)」と採点している。

 また、あるIT専門家が書き込んだ長文で歯切れの良いレビューには、「ボイコットなどどうでもいい。ソニーを処刑しろ」と書かれている。

 しかし、実店舗の方ではそれほど目立った反応はない。Amoeba Recordsのある店長は、苦情は全く聞かれないと述べている。カリフォルニア州バークレーにある同店は、米国最大級の規模を誇り、最も成功している独立系レコード店の1つ。

 Amoebaの店長Allen Lewitesは、「これらのディスクを購入したためにコンピュータにウイルスが感染した、という苦情を言いに来る顧客は1人もいない。レコード会社が何をしようと、だれも気にしないと思う」と語っている。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

関連記事
ソニーBMGのCDに新たな問題--別のコピー防止用ソフトの削除ツールに脆弱性 - 2005/11/22 12:22
ソニーBMGの「rootkit」CD、日本でも回収/交換へ - 2005/11/21 19:30
ソニーBMG、CDのリコールプログラムを発表--新しいCDやMP3ファイルと交換へ - 2005/11/21 10:43
ソニーBMGの「rootkit」CD修正用プログラム、さっそく攻撃の的に - 2005/11/17 10:57
ソニーBMG、「rootkit」CDのリコール発表--別のセキュリティ問題も発覚 - 2005/11/16 11:54
FAQ:ソニーBMG製「rootkit」CD問題のおさらい - 2005/11/14 16:58
ソニーBMG、問題のコピー防止機能付きCDを一時製造中止に - 2005/11/14 10:29

 ■CNET Japanニューズレター(無料)
  毎朝メールで最新テクノロジー・ビジネス情報をお届けします。お申し込みはこちら。

[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 11月22日14時49分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051122-00000009-cnet-sci