悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年11月21日(月) 00時00分

地震の力、6割に改ざん 計算書を入手 東京新聞

 首都圏のマンションなどの建築確認で使われた構造計算書が偽造された問題で、本紙は二十日、偽造を認めた姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が作成した構造計算書を入手した。必要な鉄筋の量などを具体的に決めるための計算書の後半部分で、地震の際にかかる柱などを曲げようとする力を、正規の六割程度に偽造していることなど、偽造の手口の詳細が判明した。 

 この計算書は東京都墨田区のマンションの建築確認で使われ、構造設計者として姉歯秀次一級建築士の名がある。概要書十二ページと、計算書本体が前半と後半で計二百八十一ページ。

 前半では、建物の大きさと重量から地震の際にかかる各種の力を計算。後半で、その数字に基づいて必要な鉄筋の量などを算出する。

 通常は、前半と後半を専用のコンピュータープログラムで一連の計算として行う。しかし、姉歯建築士は、地震時に建物全体にかかる力を(1)通常通り想定したケース(2)通常の六割ほどに過小評価したケース−の二種類の計算書を作成。

 正しく計算した数値を計算書の前半部分で使い、地震の力を過小評価した数字を、鉄筋量を算出する後半部分で使い、そのまま提出していたとみられる。

 計算書の前半で、地震の際にかかる各種の力が正しく導き出されているにもかかわらず、結果的に、必要な鉄筋の数や種類が地震の力を過小評価した数字で導き出されていた。

 例えば、同マンションでは、地震の際に最上階の梁(はり)にかかる力を、前半では五十七キロニュートンメートル(柱を曲げようとする力の単位)と正しく算出していたが、鉄筋の必要量を算出する後半の部分では三十六キロニュートンメートルという数字が使われていた。

 計算書を見た都内の一級建築士男性は「二種類の計算書をつぎはぎしただけの、低次元な改ざんだ」と批判。「プログラムを使えば、自動的に必要な鉄筋量まで正しい数字が出てくる。検査をする側も、その途中で改ざんされるというのは想定外だったのだろう」と、検査側の盲点を突いた改ざんだったと指摘した。

 概要書は手書きで数字などが書き込まれていたが、「本来はプログラムで自動作成できる。計算書本体とつじつまを合わせるためではないか」と推測した。

 この建築士は「六割として計算すると、地震の時に建物の体力が落ちるのは目に見えている。建築士の信頼を落とす行為だ」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051121/mng_____sya_____005.shtml