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2005年11月21日(月) 02時52分

耐震設計偽造 国交省、月内にも刑事告発 姉歯建築士と6設計業者産経新聞

 首都圏のマンションなどの耐震構造を示す計算書が偽造されていた問題で、国土交通省は二十日、偽造した姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次一級建築士(48)と、同事務所に構造計算を委託した設計業者六社を、月内にも建築基準法違反の疑いで刑事告発する方針を固めた。告発先は警視庁を軸に調整している。
 対象となるのは姉歯事務所のほか、スペースワン(東京都港区)▽シノケン東京支店(同)▽エスエスエー建築都市設計事務所(新宿区)▽森田設計事務所(世田谷区)▽下河辺建築設計事務所(大田区)▽木村建設(熊本県)。
 設計業者らはいずれも「偽造は知らなかった」と説明している。しかし、建築基準法上、構造計算書は元請けの設計業者の名義で作成されるため、国交省は、設計業者に偽造の認識があったかどうかにかかわらず責任が生じると判断している。
 計算書の偽造をめぐっては、姉歯建築士と販売会社、設計業者、検査機関、施工業者らが複雑に絡み合い、一部で言い分が食い違う構図となっており、告発によって捜査当局に実態解明が委ねられる。
 一方、国交省などは姉歯建築士が偽造した物件の検証作業を進めており、二十一日にも危険性の判定結果が出る見通し。姉歯建築士は最近五年間で、偽造が判明した二十一棟(未完成を含む)以外にも約九十棟にかかわっており、こうした物件の特定も急いでいる。
 また、国交省は同日から、建築主事がいる自治体と全国に約百二十ある民間の指定確認検査機関を対象に、構造計算書の審査が適正に行われているかどうか緊急点検を始める。
     ◇
 ■厳しさ嫌って検査機関変更 姉歯建築士
 構造計算書を偽造した姉歯秀次建築士が、計算書をチェックする民間確認検査機関について、以前確認申請していた機関はチェックが厳しいとの理由で、イーホームズ(新宿区)に変えていたことが二十日、分かった。
 姉歯事務所から建物のデザインを請け負っている設計士(45)が記者会見し、明らかにした。
 この設計士は約十年前から姉歯建築士と取引。姉歯建築士は当初、日本ERI(東京都港区)に確認申請していたが、平成十五年ごろ「ERIはチェックが厳しく、イーホームズに変えたい」と言い出したという。
     ◇
 ■「危険」新たに2棟 入居者に転居要請
 構造計算書の偽造問題で、完成済み十四棟のうち四棟のマンションを開発した不動産会社「シノケン」(福岡市)は二十日、二棟が震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあると発表した。国土交通省は別のマンション二棟について、すでに同様の見解を示している。一部の賃貸マンションでは、所有会社が入居者への転居要請を始めた。
 シノケンによると、該当の二棟は、東京都港区と新宿区にあるワンルームタイプの賃貸マンション。いずれも同社東京支店が建築主、設計、施工となっている物件だが、実際は木村建設(熊本県)が設計と施工を行い、姉歯建築士が孫請けで構造計算を担当していた。
 同社は二棟の入居者に退去を求め、転居先を確保してこれに伴う費用を負担する方針という。建て替えする場合、建築費などで三十二億円以上が必要になるとしており、姉歯建築士らへの損害賠償請求を検討している。
 同社は、残りの二棟(港区と渋谷区)についても調査を進めており、結果が分かり次第公表するという。シノケンが開発した首都圏の別の物件四棟も姉歯建築士が構造計算をしていたことが分かり、これらの物件についても耐震構造を調べる。
 一方、国交省が震度5強で倒壊の恐れがあると指摘した千葉県船橋市の賃貸マンション「湊町中央ビル」を所有する船橋市の不動産会社「サン中央ホーム」は二十日、五十七戸の全入居者に転居を求める文書を配った。
 同社が所有するマンションなどへの転居を勧める予定だが、それ以外の場合も諸費用は同社が負担するとしている。既に数人の入居者から「転居したい」との連絡が入っているという。このマンションについて国交省は、建物の重さに対する強度を再計算し、「地震がなくても長期的に柱や梁(はり)が曲がる恐れがあるが、直ちに自壊する恐れはない」としている。
(産経新聞) - 11月21日2時52分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051121-00000019-san-soci