悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年11月18日(金) 00時00分

【関連】審査民間開放に穴? 指定機関『不十分だった』 東京新聞

 偽造した構造計算書類で耐震性不足の恐れがあるマンションなどが建設された問題は、阪神大震災を機に建築確認業務を民間に開放した「指定確認検査機関制度」の“ほころび”もさらけ出した。耐震性不足が疑われる二十一棟のうち完成済みの十四棟が、同機関による工事完了検査で「合格」した疑いがあるからだ。事態を重視した国土交通省は十八日、全国の百二十二指定確認検査機関に、「法令順守と適正な審査業務の自主点検」を求める通知を出した。 

 また、同省は今後、問題の姉歯(あねは)建築設計事務所に発注した元請けの設計事務所についても、建築士法違反(誤った設計図作成)の疑いで事情を聴く方針。

 手抜き工事などで強度不足の建築物が倒壊した阪神大震災の教訓から、国は一九九八年、建築基準法を改正。自治体が行う建築確認の検査業務を翌九九年から民間の指定確認検査機関でも行えるようにした。

 改正前、建築確認申請後に違法改造するなどして、完成後に完了検査を受けない建築物が六割台に達していたため、民間への門戸開放で完了検査の実施率を高め、耐震性を確保する狙いだった。

 ところが今回の偽造が発覚した建築物のうち、マンション十三棟とビジネスホテル一棟は既に完成。同省の聴取に対し、建築確認検査を行った指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)は「審査が不十分だった」と認めているという。

 一般に、完工後の完了検査は、避難路や容積率、建ぺい率、斜面制限など建築基準法に違反していないかを目視で調べるため、建築物内部の鉄筋量の不足までは見抜けないという。だが、全国の約七割の自治体は建築途中での中間検査を条例で義務付けており、中間検査時に内部の鉄筋などを調べることもできる。

 完成した十四棟の中には、中間検査を義務づけた自治体のマンションも含まれており、同省は、中間検査まで形骸(けいがい)化していた可能性もあるとして、指定検査機関に同様の事例がないか、自主点検を促すことにした。

 同省によると、指定確認検査機関は▽二〇〇一年・六十九▽〇二年・八十四▽〇三年・九十四▽〇四年・百五▽〇五年・百二十二−と年々増加。建築確認業務に携わった元市役所職員などが再就職しているケースも多いという。

■指定機関調査で書類偽造が判明

 建築確認検査を行った指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)は「弊社の通常の審査業務における過失はないと思っているが、社会的責任はあり、事実を知ってから早急に国交省に報告することで全うしていると信じている」とホームページ上でコメントを発表した。その上で、「不適切な確認検査を行ったとして監督処分を受けることはないと思う」としている。

 同社によると、ことし十月、同社がサンプリング調査に基づき内部監査したところ、姉歯建築設計事務所が関与した構造計算書に疑義が生じ、ヒアリングした結果、同事務所から偽造の事実が明かされたという。

■ホテルの営業中止

 構造計算書偽造問題で、東京都中央区茅場町のビジネスホテル「京王プレッソイン茅場町」は十八日、問題ないことが確認できるまで営業を中止することを決めた。連絡が取れる宿泊予約客にはホテル側から通知する。

 ホテルを経営する京王プレッソ(新宿区)によると、ホテルは地下鉄茅場町駅近くのビジネス街に今年八月にオープンしたばかり。客室は約二百七十室。十七日は約二百人の宿泊客がいたという。

 経営会社の担当者は「昨夜、ホテルを所有する親会社から連絡を受けた。宿泊客には事情説明してほかのホテルに移っていただいた。今後の対応はこれから検討したい」と話している。

■チェック急ぐ関連自治体

 偽造構造計算書が使われたと指摘されたマンションがある東京都江東区と墨田区は、住民に通知したうえで、建物に危険性があるか確認を急いでいる。

 江東区建築課は、偽造が疑われる申請時と、別の設計事務所がやり直した構造計算書や図面を照合中。担当者は「どこがどう危ないかが確認できていないので、住民への説明はできない。今にでも危ないのか判定できない」と困惑気味。

 「内容を確認次第、安全性の説明をしたい」と十七日、住民にチラシを配布した墨田区建築指導課は「問題ありとなれば、受け入れ住宅の紹介やあっせんになってくるだろう」。

 一方、該当するマンションが一棟ある川崎市は問い合わせへの対応や関係者への説明に追われた。建築審査課によると、当該のマンション住民からの問い合わせは二件だったが、一般の市民から「自分のマンションではないか」と心配する電話が多くあったという。

 川崎市は十七日午後、危険性を伝える書類をマンション全戸のポストに入れたが、住民から「説明が簡潔すぎる」「普通の封筒に入っていたので気付かなかった」と不満の声が上がっている。

 専用の電話相談窓口を設置した横浜市には、十八日正午前後から受け付けの三本の電話が鳴りっぱなしの状態になった。市内のマンション住民からで、多くが「うちのマンションは大丈夫か」との問い合わせ。

 横浜市内にも問題のマンションが一件あるが、国と同市が公表していないため、不安が広がっている。市によると、問題のマンションは分譲で、今年の夏に完成し、ほぼ売却済み。住民には文書で知らせたという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20051118/eve_____sei_____004.shtml