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2005年11月15日(火) 00時00分

デジタル本、米社の参入続々読売新聞

 まだ多くの人がネットの未来に半信半疑だった10年前に出版され、たちまちネット関係者のバイブルとなった本がある。米マサチューセッツ工科大・メディアラボのネグロポンテ所長(当時)による「ビーイング・デジタル」が、それ。多岐にわたる予測の中で、個人的には、当節はやりのメディア融合への言及にひかれた。

 事態は本の予測どおり進んでいる。新聞記事はネットにあふれ、ブロードバンドの進展とともに映画、音楽配信が拡大し、テレビ番組の配信も徐々に始まり、融合議論が高まってきた。

 唯一、立ち遅れていたのが書籍だ。正確に言えば、日本には「青空文庫」があり、米国には「プロジェクト・グーテンベルグ」という著作権切れの書籍をネットに上げているサイトが存在する。ボランティアによる貴重な試みだが、その数は前者が5000点弱、後者は1万6000点程度。主流とは言い難い。また、専用端末や携帯電話で見る電子書籍も同様だ。

 しかし、今秋、この分野に米国のITトップ企業がこぞって参入しだした。グーグルは提携した大学図書館などの蔵書をスキャンし、著作権切れの歴史的書籍を元の形で全文読め、著作権のあるものについては、検索語の前後数行の表示や前後数ページが読める専用検索ページ「グーグルプリント」を3日からスタートさせた。いずれも無料。

 数ページ表示は2年前からアマゾンが始めているが、同社はこれを日本でも先日から始める一方、流通している書籍の全文または一部をネット販売すると発表、米最大手出版社のバーンズアンドノーブルも追随する構え。

 一方、マイクロソフトのMSNとヤフーは非営利財団インターネットアーカイブを中心とする「オープンソースプロジェクト」に参画、MSNは手始めに大英図書館の著作権切れ書籍10万冊を取り込むという。

 書籍の電子化は歴史的転換点を迎えているようだ。メディア融合をどう加速させるのか興味深い。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051115nt06.htm