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2005年11月07日(月) 18時02分

パソコン40万台にアドウェアを無断インストールした男、米国で逮捕WIRED

 米連邦捜査局(FBI)は3日(米国時間)、ロサンゼルス在住のジーンソン・アンチェタ被告(20歳)を逮捕した。約40万台のウィンドウズ機に侵入し、ユーザーの知らぬ間にポップアップ広告を表示するアドウェアをインストールさせた容疑だ。この手口で不正に得た利益はおよそ6万ドルにのぼるとされる。当局によれば、この種の犯罪で起訴にいたったケースは、米国ではこれが初めてだという。

 アンチェタ被告は、2件の共同謀議のほか、さまざまな形によるコンピューター侵入、マネーロンダリングなど、あわせて17の罪状に問われている。検察当局はさらに、被告が所有する6万ドルあまりの現金と中古の『BMW』1台、複数のコンピューター機器を押収する構えだ。

 検察当局によると、アンチェタ被告は2004年から2005年初めにかけ、トロイの木馬『RXボット』(rxbot)の改造版を使って無防備なパソコンを数多く発見して乗っ取り、それらを「ボットネット」と呼ばれるネットワークにまとめ、ネットワークごとに一括して操作できる状態にしたという。アンチェタ被告はそれぞれのパソコンに、2つのアドウェア会社——カナダのケベック州に本拠を置くガンマキャッシュ社(Gammacash)とラウドキャッシュ社(LOUDcash)——の広告表示プログラムをインストールした。ラウドキャッシュ社は今年に入ってアドウェア大手、米180ソリューションズ社に買収され、現在は子会社の米ザンゴキャッシュ社(ZangoCash)となっている。

 ガンマキャッシュ社と180ソリューションズ社は、アフィリエイト・プログラムを通じて、ユーザーのパソコンにポップアップ広告の表示プログラムをインストールしている。広告表示プログラムがインストールされるごとに、アフィリエイトの登録者に報酬が支払われる仕組みだ。これらアドウェア会社はアフィリエイトの登録者に対し、必ずユーザーの承諾を得てからアドウェアをインストールさせるよう求めているが、悪質な登録者はこの承諾の手順を省いてしまっている。

 アンチェタ被告は2004年11月から犯罪に手を染めていたと見られる。アンチェタ被告はまず、2万6975台のコンピューターで1つのボットネットを組み、ガンマキャッシュ社のアフィリエイト・プログラムで約4000ドルの利益を得た。次には8744台のコンピューターを操り、ラウドキャッシュ社のアフィリエイトで1300ドルを稼いだ。起訴状によると、アンチェタ被告はそうして数週間ごとに数千ドル単位を稼ぎ続け、その総額は最終的に5万8357ドル86セントに達したという。

 180ソリューションズ社は、アンチェタ被告が同社のアフィリエイトに登録していた事実を認めている。「アンチェタ被告のインストール数は1月に激減した。本人が改心したのか、誰かに突き止められたのか、あるいは他に理由があるのかは当方ではわからない」と、180ソリューションズ社の広報担当者は話す。

 ガンマキャッシュ社にも電話でコメントを求めたが、回答は得られなかった。ガンマキャッシュ社の事業形態は180ソリューションズ社とほとんど同じだが、異なるのは成人向けの広告を専門にしている点だ。

 アンチェタ被告は「副業」として、自身のボットネットを他の悪意ある人々に販売し、3000ドル近くを得ていたとされている。アンチェタ被告が販売したボットネットは、サービス拒否(DoS)攻撃やスパムの発信元となっているという。

 180ソリューションズ社のアドウェアは、承諾した覚えもないのに突然パソコンに表示されることが多いため、スパイウェア対策に取り組む人々からは長年疑いの目を向けられてきた。だが、当の180ソリューションズ社は、システムが悪用されないよう尽力していると主張する。

 180ソリューションズ社が今週発表したところによると、オランダ当局が先月、ボットネットを使って同社のプログラムを不正に配布し、さらに同社にDoS攻撃を仕掛けた容疑者を逮捕した件で、同社はFBIを通じ捜査に協力していたという。また、先月にはアドウェアを更新し、ユーザーに通知してインストールへの同意を求める画面を自社のサーバーから表示するように変更した。以前はこの通知プロセスがアドウェア本体のコードに組み込まれており、容易に改竄(かいざん)できるようになっていた。

 「以前は、ユーザーに通知し同意を求めるダイアログボックスをクラッキングし、ユーザーの知らぬ間にアドウェアをインストールするよう細工することが可能だった。今回逮捕された被告も同じ手を使ったと見られる」と、180ソリューションズ社の広報担当者は述べた。

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(WIRED) - 11月7日18時2分更新

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