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2005年11月02日(水) 00時00分

東証取引停止 ネット時代へ対応急げ 東京新聞

 東京証券取引所の全銘柄の取引が停止になった事件は、ネット時代の証券取引のもろさを浮き彫りにした。インターネット利用の取引急増に対応できるシステムの整備が急がれる。

 東京・兜町の東証内の株価表示板は一日午前九時の取引開始時間が過ぎても、前日の終値を示したまま動かなかった。コンピューターのシステム障害のためである。

 東証のほか札幌、福岡両証券取引所でも取引が停止された。正常に復帰したのは午後一時半だった。

 東証は最近の注文件数増加に対応して先月、システムの処理能力を高めたばかりだが、今回の障害の原因は、そのソフトの不具合だった。

 ここ一、二年、東証の取引件数は増加の一途である。一日の取引株数二十億株以上は常態化し、三十億株を超えることもある。バブル期並みというより、それ以上の商い高だ。

 これは、企業業績の好調を受けて機関投資家をはじめ、外国人、個人投資家などが積極的に市場に参加しているためだ。とりわけ、インターネット取引を活用した個人投資家の売買急増が目立っている。

 ネット利用の株式取引は手数料が安く、パソコンや携帯電話で簡単に取引ができるため、一日に何度も株式を売買する個人投資家が多い。こうした「デイトレーダー」が取引量を押し上げているという。

 取引急増で証券取引所は大きな影響を受ける。今年に入って、新興市場のジャスダックで三回、システム障害で取引が一時停止した。大阪証券取引所の新興市場、ヘラクレスでは、五月から五カ月間、新規上場の受け付けが停止されていた。

 東証でも八年前に、大部分の銘柄の取引が停止したことはあるが、全銘柄の取引停止は初めてだ。

 今後も、景気回復、企業業績好調で株式市場が人気化するとみられるうえ、ネット株式取引の普及で取引量が飛躍的に膨らむ可能性がある。

 取引増加に対応してシステムを増強するのは当然のことだが、その際、トラブルを招かないよう細心の注意が必要なのは、いうまでもない。障害が発生した場合のバックアップ体制の整備も課題だ。

 証券取引所は、企業が不特定多数の投資家から設備投資や研究開発などのための資金を集める場である。つまり、資本主義経済のインフラだ。これが正常に機能しなければ、経済そのものが変調をきたす。

 東証をはじめ各証券取引所は、自らが担っている重大な責務をよく自覚して、運営に当たってほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20051102/col_____sha_____002.shtml