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2005年11月01日(火) 00時00分

“地下”で広がる日本アニメ読売新聞

 米国はハロウィンの季節を迎えた。恒例の仮装では、日本のアニメの登場人物にふんする人も珍しくない。

 今、日本のあるアニメ専門のダウンロード・サイトが欧米圏の熱心な「おたく」たちの間で人気を博している。過去1年半の間に約1700万件のヒット(訪問)を記録したという。

 このサイトは、特定の「ファイル共有ソフト」を所有するユーザー限定で、アニメ番組の動画ファイルを無料でダウンロードする仕組みとなっている。

 番組リストには、前日までに日本で放映された最新アニメがズラリ。理由は不明だが、音楽やバラエティーの番組もわずかにある。

 このサイトの存在を教えてくれたカリフォルニア大の大学院生は「アニメ主題歌を歌っている人の顔を、ダウンロードした音楽番組で初めて見ることができた」とうれしそう。米国のケーブル局では、日本語の主題歌を差し替えずに放映することが少なくないのだ。

 「ここまで来れば、日本のアニメ人気も本物」と言いたいところだが、放映中の日本の番組をこのような形で海外にネット配信する事業は、著作権や制度上の壁もあり、実施されていない。つまり、これらの動画は非公認なものなのだ。

 使用するソフトには、京都府警が摘発した共有ソフト「Winny(ウィニー)」で問題になった匿名機能はないが、同方式の映画サイトは米国の業界団体の圧力で次々と閉鎖された経緯がある。件(くだん)のサイトは、英語ゆえに、権利のある日本側に気付かれにくく、放置されているに過ぎない。類似のサイトは世界中にいくつもあり、今後さらに増えるかも知れない。

 著作権保護の観点から言えば、水面下でのコピー流出は看過できないが、この“潜在需要”を日本語の発信やビジネスの機会ととらえるしたたかさも必要だ。

 近い将来、この人気が、他国製の番組に取って代わられる可能性だってあるのだから。(ワシントン 笹沢教一)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051101nt05.htm