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2005年09月30日(金) 02時40分

携帯8兆円市場激震 イー・アクセスも参入申請 寡占に風穴 利便性向上産経新聞

 携帯電話への新規参入を目指すイー・アクセスは二十九日、総務省に第三世代携帯電話事業の参入を申請した。今月五日にはソフトバンクが参入申請をしており、総務省は年内をめどに、両社が申請した一・七ギガヘルツ帯について、最大で二社の参入を認める方針。大手による寡占状態だった携帯電話業界に、十二年ぶりに新顔が登場することになり、料金、サービス面での競争が激しさを増しそうだ。
 総務省は電波を有効利用するため周波数の再編を進めており、一・七ギガヘルツ帯に最大で二社、二・〇ギガヘルツ帯に一社の新規事業者の参入を認める方針を打ち出している。
 既存と同様の方式でサービスを行える一・七ギガヘルツ帯には二社が参入申請したが、同省では提出された「特定基地局開設計画認定申請書」をもとに、事業計画の実現性や財務状況などを調査、年内をめどに参入の可否を判断する。
 この日申請に訪れたイー・アクセスの千本倖生会長兼CEOは、「平成十九年春にデータ通信、二十年春から全国で音声サービスを展開する」と述べ、事業の運営に自信を示した。同社は、ADSL(非対称デジタル加入者線)サービスの大手。今年一月、携帯電話事業を手がける子会社「イー・モバイル」を設立し、準備を進めてきた。モバイル社には、民放大手のTBSが百億円の出資を決めているが、千本会長は同日、米金融大手のゴールドマンサックスが二百五十億円を出資、事業を後押しすることを明らかにした。
 これらの資金は、「基地局建設に三千億円、端末開発費などの運転資金には五年で一千億円かかる」(種野晴夫社長)という初期投資に回すほか、TBSやゴールドマンの持つ映像などのコンテンツを活用、サービス面で他社と差別化を図る。料金は既存事業者よりも安くする方向で、千本会長は「五年目で市場シェアの10%を取りたい」と目標を掲げた。
 先に新規参入を申請したソフトバンクも、低料金などで「数年内に一千万人」(孫正義社長)と強気の目標を示す。
 だが、両社に共通する懸念は「計画通り全国展開できるのか」(業界関係者)という点だ。全国でサービスを行うには、一万五千−二万局の基地局整備が必要とされる。
 その点についてソフトバンクは、「『リース方式』で投資額は数百億円で済む」とし、イー・アクセスは既存事業者の設備を一部借りる「ローミング」を視野に入れる。
 ただ、既存事業者にとって新規事業者は顧客を奪うライバルだ。NTTドコモの中村維夫社長は同日の会見で、「緊急避難的には(設備を)貸すが、料金などは厳しいものになる」と強調。新規事業者の先行きは平坦(へいたん)ではない。
     ◇
 IT界風雲児のソフトバンクとイー・アクセスが携帯電話に新規参入すれば、業界全体で料金値下げやサービスの多様化がこれまで以上に進むことは必至だ。加えて来年には同じ番号のまま携帯電話会社を変更できる「番号ポータビリティ」(番号継続制)も始まるため、利用者にとっては一気に選択肢の幅が広がって利便性が向上する。
 新規参入を目指す二社はかねて、「日本の利用者は携帯電話料金を高く払い過ぎている」と言明し、NTTドコモなど既存事業者を強く牽制(けんせい)。音声通話やデータ通信に定額制を導入するなど価格競争力のある料金体系を構築する狙いだ。
 これに既存事業者が対抗する公算は大きく、激しい料金競争によって「現在より10%以上は値下がりする」(関係者)との指摘もある。
 だが、中長期的にみれば、料金競争が利用者の利点になるかは疑問だ。端末メーカーへの支援や販売店に支払っている莫大(ばくだい)な販売奨励金が不足すれば、携帯電話端末の価格は逆に値上がりする。これによって、買い替えサイクルが伸びれば、世界をリードする新規開発への投資余力が縮小される悪循環に陥りかねないからだ。
 今や、八兆円市場で日本を代表する産業に育った携帯電話業界は十二年ぶりの新規参入によって、かつてない岐路に立たされることは間違いない。(冨岡耕)
(産経新聞) - 9月30日2時40分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050930-00000012-san-bus_all