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2005年09月29日(木) 19時25分

崩壊する? ゲーム市場の希望は携帯ゲーム〜ナムコITmediaモバイル

 ナムコは10月から、携帯アプリ「テイルズ オブ コモンズ」をリリースする。携帯オリジナルの“大作RPG”と位置づけられるゲームで、第1話から第4話まで毎月1話ずつ追加配信する予定だ。同ゲームに込めたナムコの狙いを、同社CXカンパニーのWMC事業グループ、コンテンツ開発チームディレクター、郷田努氏に聞いた。

●高クオリティ路線は「ユーザーに受け入れられた」

 ナムコが携帯向けRPGとして開発したテイルズ オブ ブレイカーは、一連の“テイルズ”シリーズの作品でも完全オリジナルの作品。高クオリティのグラフィックといい、頻繁にデータ通信を行って大きなデータを扱うゲーム構成といい、「携帯ゲームはひまつぶしにやるもの」という考えに挑戦するような完成度の高い作品だった。

 今回開発されたテイルズ オブ コモンズは、これに続くオリジナルRPG第2弾。既に公開されている一部ゲーム画面を見ても、クオリティは高そうに思える。またモバイルゲームとしては珍しく、歌手の植村花菜さんが主題歌が歌うことからも意気込みがうかがえる。

 郷田氏は、前作の“高クオリティ路線”はユーザーに受け入れられたと見る。ナムコの携帯サイト「テイルズ オブ モバイル」は、テイルズ オブ ブレイカーの登場に伴い大幅に会員が増えた。「詳細は明かせないが、もともとが数万人だったところがさらに数万人レベルで増えた。40%増ぐらいにはなっている」。パケット通信を頻繁に行うため、定額制ユーザーでないと相当にパケット代がかさむ点も「パケット通信してもいいから、リッチな演出を求める声が多かった」という。

 郷田氏は、テイルズ オブ ブレイカーがナムコとしては一種の実験だったと位置づける。もちろん事前にマーケティングは行っているが、実際にやってみると懸念したポイントもそれほど問題がなく、成功したとの認識だ。

 これをふまえ、テイルズ オブ コモンズはさらに作りこみを図った。「イベント時にキャラクターがしゃべるボイス機能も、セリフが増えている。キャラクター数を絞った分、内容も深い」。フィールド画面で縮小マップを表示したり、ゲームプレイ中にイベントのガイドを行う「スキット機能」を盛り込んだりと、家庭用ゲーム機さながらのシステムも採用している。

 ただし、これはゲームメーカーとしてはジレンマでもある。郷田氏は、かつての携帯アプリは高い収益構造だったと振り返る。「かつて携帯ゲーム開発といえば、100万円でできた。それを300円で何十万人が利用する……という状況。ものすごい収益だった」。手軽に開発したアプリがヒットすれば、すぐに毎月何千万円が手に入るという状況はしかし、変容しつつある。

 「低コストハイリターンの時代ではなくなった」

 いま、携帯アプリで新作を作るといえば、開発費もかかるし作業量も増えた。開発すれば終わりではなく、ネットワーク機能を利用するとなれば運営も行わなければならない。このため、事業者に求められるスキルも増えたという。

 郷田氏は、この路線は仕方のないところだと話す。ユーザーがミニアプリに飽きたらないという背景のほかに、より高機能アプリを開発できる土壌も整備されている。「外部メモリがゲームアプリ向けに開放されるという噂もある。こうして(外部メモリまで動員して)大容量アプリを作っていくのは、流れだろうなと」。ナムコとして、将来を見通して初期段階からノウハウをためていく必要があると判断したという。

●ゲーム業界の既存モデルは「崩壊する」?

 郷田氏は、ゲーム業界は携帯アプリへの取り組みを含め、新しい戦略をとらなければ生き残れないところまできていると警鐘を鳴らす。例えば従来のようにゲームソフトを開発して、それをゲームショップで販売するというモデルは「崩壊している」と話す。

 崩壊、とは過激な言葉ではないか……との問いに、郷田氏は苦笑しながら「崩壊といってもいいと思う。街中で見ても、ゲームショップの数はどんどん減っている」

 前述のようにゲーム業界は開発費がかさむこともあり、そこに関わる事業者のコスト意識もシビアになってきた。「例えばゲームソフトを売るにしても、10本仕入れて、9本を売ったとする。しかし残りの1本が売れなければ利益がゼロになってしまう、そんな状態だ。流通サイドは、売ろうと思って値引きをしたら赤字になるほど。これでは、量販店しか生き残れない」

 ゲーム業界ではいま、パラダイムシフトが起きているというのが郷田氏の持論だ。ゲームソフトを販売するにしても、いずれは「無媒体配信」、つまりダウンロード配信の世界にいくのではないかという。「携帯アプリがなぜ強いかといえば、ダウンロード配信のため在庫を持たなくていいということ。その強みが浸透したら、ゲーム業界は無媒体配信に進むのではないか」

 郷田氏の分析では、現状はアナログな従来のビジネスモデルとデジタルな未来型ビジネスモデルの端境期だという。「世代としてドラスティックに変わるかな? と思って見ているが、まだ分からない。音楽配信の世界でiTunesがヒットしているのを見ると、そろそろ変化が起きるのかとも思うが……」

 郷田氏は、携帯ゲームの未来を無条件に楽観視しているわけではない。確かに、モバイル市場にしても飽和している印象はあると認める。「コストがかかるようになってしまったし、端末全体の台数も伸びていない。ただ、次の展開はあると思う。それはPCの世界と同じで、高速ブロードバンドと定額料金だ」。PCインターネットはADSLの普及とともに、映像コンテンツを扱えるようになるなど「1段階フェーズが上がった」。これと同じように、モバイルもこの先もう一段階フェーズが上がると郷田氏はにらむ。

 「その中で、淘汰される事業者も出てくると思う。パイの奪い合いが起こる。ただし——最後に強いのは、優良なコンテンツを持っているところだ」。郷田氏はそこまで話すと、自信ありげな表情を見せた。

■さらに画像の入った記事はこちら
  http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0509/29/news077.html

http://www.itmedia.co.jp/mobile/
(ITmediaモバイル) - 9月29日19時25分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050929-00000059-zdn_m-sci