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2005年09月27日(火) 00時00分

ネットはもはや「公共の場」読売新聞

 科学誌のネイチャーやサイエンスは、報道解禁日を厳格に守ることを条件に、登録した記者に翌週発行される号の掲載論文を事前公開している。記者は解禁までの数日を使い、事前取材が可能になる。

 先日、いつものように次号のサイエンスの論文を入手し、発表内容に関する情報を集めようと、検索エンジン「グーグル」に文中の専門用語を入力したところ、手元の論文がそのまま検索結果に出てきてしまった。体裁は若干違うが、内容は同じものだ。

 発表者の米ジョージア工科大が、大学のウェブサイト上に、何のアクセス制限もかけずに原稿を“一時保管”したため、グーグルのデータに取り込まれてしまったようだ。グーグル検索で誰でも見られるのだから、もはや未公表の研究成果とは言えなくなる。

 実は、こうした経験は初めてではない。ネイチャーでも欧州宇宙機関の論文とほぼ同じものが、発表前にグーグル検索で引っかかったことがある。7月、米航空宇宙局が大々的に発表した第10番惑星も「重大な発見が大学のサイトに出ている」とネットで広まり、急きょ公表されたらしい。

 まだある。ワシントン・ポスト紙が今月11日に1面で報じた国防総省の核政策転換を示す未承認文書は、ネットからダウンロードしたもの。記事掲載前からグーグルで検索でき、複数のコピーがネット上に存在した。

 かつてインターネットは、政府や大学など、身内とも言える同士が情報を共有する手段に過ぎなかったが、今や活字や電波を脅かすほどの大衆媒体に発展した。

 そんな「公共の場」に認証なしで重要情報を置くこと自体、うかつなのだが、制限を講じても情報流出の危険が付きまとうのがネットの世界だ。公表・非公表の境界も紙一重で、似たような例は今後も続くだろう。

 ネットは情報の公開に適していても、隠し場所にはあまり向かないようだ。(ワシントン 笹沢教一)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20050927nt0c.htm