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2005年09月26日(月) 00時00分

“管理人”の存在知って ネット社会 24時間陰で支える 東京新聞

 Eメールやホームページ(HP)のアドレスには、最後が「co.jp」や「ne.jp」「or.jp」など、日本を示す「jp」で終わるものが多い。メールアドレスの「@」以降など住所にあたる部分を「ドメイン名」といい、なかでも「jp」で終わるものは「JPドメイン名」と呼ばれる。このJPドメイン名の管理・運用を一手に引き受けている会社が日本にある。ここのコンピューターがダウンすると、JPドメイン名が関係する一切のメールが届かなくなったりHPが開かなくなったりと、日本中が大混乱に陥るという。  (引野 肇)

 この会社は東京都千代田区に五年前にできたばかりの「日本レジストリサービス」(JPRS)で、従業員百二十人、平均年齢三十二歳の若い会社。ずらりと並んだ机上のパソコンに従業員らが向かう様子は、ごく普通のオフィスだ。「こうやってインターネットの基盤を二十四時間、三百六十五日体制で支えていることは、あまり知られていない」と、同社の広報担当者は少し残念そうに語る。

 インターネットやメールでは、相手のアドレスがわからないと通信のやりとりはできない。本来、このアドレスは「202・11・16・167」などといった数字で表現されており、これをIPアドレスという。しかし、これでは私たちにとって覚えるのが難しい上に、入力ミスのもとだ。

 そこで私たちは、「http://www.tokyo-np.co.jp/」とか「kagaku@tokyo-np.co.jp」などの扱いやすい英文字と記号を使ったアドレスを用いている。最近、JPドメイン名では漢字も使えるようになり、「http://人名辞典.jp/」など、漢字を使ったJPドメイン名が急激に増えている。

 この文字列のアドレスを翻訳して、コンピューターが理解できるIPアドレスに変換する仕組みがDNS(ドメイン・ネーム・システム)だ。JPRSは、ネットを通じて世界中から寄せられるJPドメイン名に関する問い合わせに、アドレスをIPアドレスに変換する作業を二十四時間体制でこなしている。

 つまり、はがきや手紙が確実に相手に届くよう、住所を見て細かく仕分ける郵便局のような仕事をしているのだ。もちろん、各自が自分勝手なアドレスを名乗るとネットが大混乱に陥る。このため、世界で同じドメイン名が重複して存在しないように、JPRSはJPドメイン名の登録管理を一元的に行っている。

 JPドメイン名の登録数は、九月一日の時点で七十五万件。日本の一部上場企業の97%がJPドメイン名を使っているという。「jp」のほかに米国の「us」、英国の「uk」、韓国の「kr」、香港の「hk」などがある。国別のドメイン名のほかには、商業系の「com」やネットワーク系の「net」など分野別のドメイン名もある。なお、「jp」の前にある「co」は会社を、「go」は政府機関を、「ac」は大学を、「ed」は小中高校を表している。

 もし、JPRSのコンピューター(サーバー)が故障すると、JPドメイン名が関係するメールやインターネットが使えなくなる。このため、JPRSはサーバーを国内と海外に数カ所設置、システムがダウンする危険性を分散している。

 JPRSの職場を案内してくれた堀田博文取締役企画本部長は「私たちはネットワークの縁の下の力持ちなので、あまり目立つことはよくないが、これからも信頼性と安定性、利便性、経済性の四つを柱として事業を進めていきたい」という。

 インターネットやメールだけでなく、IP電話もDNSが深く関係している。普段何気なく使っているメールやインターネットだが、このような縁の下の力持ちがいるからこそ、その利便性を享受できる。そのことをいつも頭の片隅におくことは、情報技術(IT)社会で生きていく上で重要なことだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20050926/ftu_____dgi_____000.shtml