悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年09月24日(土) 00時00分

NHK改革 不信をなくすことから 東京新聞

 NHKの改革は、一連の不祥事に対する視聴者の不信感をぬぐうことが先だ。視聴者が求めているのは公共放送としての信頼感である。受信料不払いの督促という対症療法では理解を得られない。

 NHKの橋本元一会長が「新生プラン」を発表したが、視聴者に納得してもらえるだろうか。改革の姿勢は見られるが、実際は追い込まれての窮余の策という色合いが濃い。

 そもそも受信料の不払いが全国で百万件を超え、NHKの財政基盤を大きく揺るがすことになったのは、一連の不祥事が原因だ。

 昨年から今年にかけて職員による番組制作費の着服やカラ出張などの不正経理、さらに旧日本軍の慰安婦問題を扱った特番の改変問題が次々と明らかになった。

 「そんなNHKには受信料を払うわけにはいかない」という視聴者の反発や不信は深く、解消されたとはいえない。信頼を取り戻すことを抜きにして改革は進まない。

 まず、一連の不祥事の元締めとして引責辞任した海老沢勝二前会長の退職金約一億円が凍結されたままだ。あやふやに済まさず、早急にはっきりさせるべきである。不祥事のもとになった旧体質の一掃を視聴者に示すことだ。

 次に、番組改変問題でNHK側は「政治的圧力はなかった」と説明しているが、疑問には十分答えていない。新生プランには「何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく放送の自主自律を貫く」と明記された。視聴者が求めているのは公正な番組だ。NHKは公共放送の根幹にかかわるこの問題にきちんと対処する必要がある。

 新生プランは受信料にも言及し、橋本会長は「説得を重ねてもご理解いただけない場合、最後の手段として督促を検討したい」と訴えている。放送法で受信機を設置した者に受信契約が義務づけられているが、不払いの罰則規定はない。督促はむしろ視聴者の反発を招き、逆効果になる恐れもある。もっと慎重さを求めたい。

 また「受信料の公平負担に取り組む」というが、不払いは今に始まった問題ではない。NHKと契約を結んでいない未契約者約八百五十万世帯を放置してきたことがある。「善意の負担金」に頼ってきた受信料制度の土台が揺らいでいる。

 将来的には受信料制度の見直しも視野に入れなければならないが、まずは視聴者の信頼を取り戻すよう全力を尽くすべきだ。NHK経営陣には危機感がもっと必要だろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050924/col_____sha_____003.shtml