2005年09月17日(土) 05時01分

「情報セキュリティ政策会議」第2回会合--政府は何を/どのように守るべきか（MYCOM PC WEB）

政府の情報セキュリティ政策を主導するIT戦略本部の情報セキュリティ政策会議は、第2回会合を開き、政府として取り組むべき緊急度の高いセキュリティ対策を定めた「政府機関統一基準(2005年項目限定版)」と、重要インフラのセキュリティ対策強化を狙った「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る基本的考え方」を決定した。今後は、統一基準に基づいた対策の実施状況の検査、対策項目の追加、新しい行動計画の策定などが予定されている。

現在各府省庁は、それぞれ単独で情報セキュリティ対策を実施しているが、対策レベルの差が大きい、人材が全体的に不足しているなどの問題点が指摘されており、さらに民間企業での情報漏えい問題など、情報セキュリティ関連の事故が多発している状況をふまえ、政府機関全体で統一的に行うべき対策のうち、緊急度の高い対策を中心にまとめたのが「政府機関統一基準(2005年項目限定版)」だ。具体的な対策を提示することで、各府省庁間の格差を埋める狙いがある。

内容としては、たとえば

・情報の格付けおよび取り扱い制限に関する手順の整備
・情報の持ち出し等の制限事項の強化
・DoS攻撃対策の実施
・省庁ネットワークに対する不用意な接続の禁止
・外部委託の際に、委託先が遵守すべき事項を含めた契約書の取り交わし

などが挙げられている。

今後は、この統一基準に従った対策が行われているか、情報セキュリティ政策会議の実働部隊となる内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)が本年度中をめどに検査を実施する。また、システムの開発・整備に関する対策項目などを追加した「政府機関統一基準(2005年12月版(全体版初版))」を12月までに策定、Webサーバー設置ガイドライン、モバイルパソコン管理ガイドラインなどの「個別ガイドライン群」を順次決めていく予定だ。

「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る基本的考え方」は、2000年の「重要インフラのサイバーテロ対策に係る特別行動計画」とその取り組みを発展・強化させるための基本的方向性を示したもの。同行動計画は、策定から4年以上が経過し抜本的な見直しが必要とされているため、今回「重要インフラ専門委員会」を設置、今年末をめどに新しい行動計画を策定する。「基本的考え方」では、重要インフラに水道や医療、物流を追加し、想定する脅威の範囲も拡大。具体的な対策の提示、官民の連携、情報共有体制の強化、人材育成や国際連携などの情報セキュリティ基盤の強化などが方向性として示されている。

この重要インフラ専門委員会は、情報・システム研究機構国立情報学研究所の浅野正一郎教授、JPCERT/CCの伊藤友里恵氏、弁護士の稲垣隆一氏、中央大学の土居範久教授、KDDの中尾康二情報セキュリティ技術部長らが参加している。また、同会議では、今年12月に情報セキュリティ問題に関する政府の中長期的な戦略を定めた「第1次情報セキュリティ基本計画(仮称)」を決める計画だ。

(小山安博)

画像はこちら
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/09/16/002.html

サイバー犯罪の検挙数は5割増、相談件数は5万件超 - 警察庁
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/08/19/014.html

政府の情報セキュリティ政策の中核、「情報セキュリティ政策会議」が設立
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/05/31/029.html

【レポート】RSA Conference 2005 JAPAN - 何のための情報セキュリティ対策か
http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2005/05/17/rsa2/

情報セキュリティセンターが開設、セキュリティ政策は進展するか
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/04/25/001.html

政府のセキュリティの中核 - 内閣官房に情報セキュリティセンターが設置へ
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/04/22/006.html

情報セキュリティ政策会議
http://www.bits.go.jp/conference/seisaku/

内閣官房情報セキュリティセンター
http://www.bits.go.jp/

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050917-00000097-myc-sci