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2005年09月16日(金) 17時52分

期待を集める次世代ブラウザー『フロック』WIRED

 もうこれ以上新しいウェブブラウザーは必要ないようにも思える。だが、バート・デクレム氏らが開発したこのブラウザーは別かもしれない。

 デクレム氏をはじめとする少人数の開発チームは今夏、オープンソース方式の新ブラウザー『 http://www.flock.com/home/about/ フロック』(Flock)のベータ版の10月前半公開に向けて、カリフォルニア州パロアルトで静かに準備を進めてきた。デクレム氏を含むチームのメンバー数人は、フロックが土台としたブラウザー『Firefox』(ファイアーフォックス)を開発したモジラ財団の出身だ。

 フロックの売りは「ソーシャル・ブラウザー」。つまり、写真管理・共有サイトの『 http://www.flickr.com/ Flickr』、ブログサービスの『 http://www.technorati.com/ テクノラティ』、ブックマーク共有サイトの『 http://del.icio.us/ del.icio.us』などの人気ウェブサービスが快適に利用できるということだ。さまざまな対象をドラッグして取り出せるWYSIWYG(ウィジウィグ)ブログツールにも対応している。上記のような各サイトでユーザーアカウントを自動的に探し出し、認証することさえ可能にする。明らかに、 http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050809301.html 次世代ウェブユーザー(日本語版記事)を狙っての試みだ。

 フロックに対する期待感が急上昇したのは偶然ではない( http://www.techcrunch.com/?p=180 例1、 http://www.rolandtanglao.com/archives/2005/08/11/flock_rocks_or_chris_messina_is_a_demo_god 例2、 http://channel9.msdn.com/ShowPost.aspx?PostID=107297#107297 例3)。テクノロジー評論家で人気ブロガーのロバート・スコーブル氏は、ただただ「すごい」という。最近のフロックに対する期待の高まりを見ると、これまで開発がひっそりと進められてきたことがうそのようだ。8月の http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050824206.html バーキャンプ(日本語版記事)での http://www.willpate.org/bar-camp-flock-demo デモ以来、ラブレターのように熱烈な期待をフロックに寄せるブログがいくつも見られた。

 しかし、なぜ、そんなに期待が高まっているのか?

 「ブラウザーはそれほど進化を遂げてはいない」とデクレム氏は言う。「ブラウザーの基本的なコンセプトやビジョンは最初から変わっていない」。デクレム氏によれば、ウェブは最近まで、様々な文書を探して利用する大きな図書館という見方をされてきた。しかしデクレム氏は「ウェブ2.0[次世代ウェブ]は、次から次へと流れてくるイベントや人、つながりの総体だ」と指摘する。より良いブラウザーというのは、この新しいユーザー環境を理解したものになるだろう。

 最近、多くの人がFirefoxをマルチ・プラットフォームのブラウザーとして使うようになり、 http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050518302.html 特定のウェブページの体裁を修正表示する『グリースモンキー』のような人気の拡張機能(日本語版記事)によって、これまでにないブラウジングが可能になった。しかし、別個に開発され、頻繁にアップデートされる拡張機能を一緒にすると、Firefoxの動作が不安定になる恐れもある。

 フロックを実際にテストしたボリス・マン氏は、「最良の部分を集めるアプローチをとっている。グリースモンキーなどの強力なブラウジングツールを取り入れて機能させ、それらツールの優れた特質がレンダリングのレベルでもFirefoxと密接に結びついている」と高く評価する。

 デクレム氏は、自身も昨年の発表に至るまで協力したFirefoxに、フロックで対抗しようとしているのではないと話す。「オープンソースはわれわれの重要なDNAの一部だ」と、デクレム氏は続ける。しかし、既存のブラウザーはデクレム氏から見れば、まだまだ「物足りない」という。フロック開発チームは、ウェブは双方向の経験であるべきだという、ウェブの開発者ティム・バーナーズ=リー氏のビジョンへの回帰を語る。「ブラウザー・ソフトを革新する機会はいくらでもある。われわれが植え付けた種に、多くの関心が寄せられている」

 フロックをめぐるこの騒動は、ブラウザーの強化にユーザーの関心が向けられていることを示している。フロックの初期の利用者がパワーユーザーであるのは間違いないが、カナダのウェブサービス会社ブライト社のクリス・クルーグ氏は、フロックを「ウェブ2.0の入り口」と見ており、これをきっかけに多くの人がソーシャル・ソフトウェアやブログ、写真共有サービスに引き込まれるだろうとしている。

 「われわれは、機能が5つ増えたFirefoxを作ろうとしているのではない。1つの特定の問題を解決しようとしているのだ——多くのユーザーがぶつかっている問題を」と、デクレム氏は話す。

 フロックがまもなく、検索やブックマーク、ブログツールといった機能に関して重大な提携を発表するだろうという噂もささやかれている。フロック開発チームは独自のブックマークサービスを実験しているが、デクレム氏は「われわれはオンラインサービス会社ではないという結論に至った」と話す。

 スコーブル氏は、フロックは統合型のウェブアプリケーションの始まりにすぎないと考える。1990年代に表計算、ワープロ、データベース、プレゼンテーションといったばらばらのプログラムを1つのパッケージにしてユーザーの獲得に成功した『Microsoft Office』(マイクロソフト・オフィス)にも相当するものと、スコーブル氏はフロックを大きく持ち上げる。

 「現在、われわれはインターネット上であまりに多くのサービスを利用するため、手持ちの素材を共有できないでいる。ブログ、写真共有、ウィキ(Wiki)、地図、ポッドキャスト、動画ブログはすべて別々のサービスだ。しかし、おそらく共通のユーザー・インターフェースをもつ1つのシステムにまとめられるだろう」

 フロックがウェブ利用におけるOfficeになるかどうかはわからない。だが今のところ、少なくともこの期待感が続くうちは、そのようなものになると言えそうだ。

[日本語版:高井祐介/岩坂 彰]日本語版関連記事

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(WIRED) - 9月16日17時52分更新

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