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2005年09月09日(金) 03時27分

受信料不払い 法的措置に前向き NHKが方針転換産経新聞

 NHKの橋本元一会長は八日の定例会見で、七月末時点で百十七万件にのぼる受信料不払い対策として、「受信料を払っている視聴者から、不払い者を放置しておくのかとの声が多く、不公平感が募る一方だ」と述べ、簡易裁判所などを通じた督促など法的措置の導入に前向きな意向を示した。NHK会長が法的措置に言及したのは初めて。 
 「強制徴収」に踏み切れば、受信料制度は「視聴者の善意に支えられている」として、「視聴者の信頼回復」を不払い対策に掲げてきたNHKが大きく方針転換したことになり、是非をめぐって論議を呼びそうだ。
 導入意向の法的措置は、テレビを設置した人にNHKとの受信契約を義務付けている放送法に基づき、簡易裁判所を通じて請求しても支払わない相手に支払い督促を行うというもの。
 「未契約者」には督促ができないため、別の措置を考えるという。
 また、橋本会長は「不払い増加が新たな不払いを呼んでいる。マイナススパイラル(負の連鎖)を止めることが必要だ」とも述べ、不払い増加が止まっていない現状への危機感が方針転換の背景にあることを明らかにした。
 NHKは今月中にまとめる改革に向けた「新生プラン」に法的措置導入も盛り込む方針。ただ、最高意思決定機関のNHK経営委員会で反対意見も出ており、流動的な部分も残っている。
     ◇
 ■「新たな不公平」視聴者反発も
 止まらない受信料不払い増加に耐えかねたNHKの「方針転換」。しかし識者からは「新たな不公平を生む」「視聴者離れが加速する」と、法的措置導入に疑問を投げかける声が多い。
 支払い督促手続きは、簡易裁判所に申し立て、簡裁から支払い督促を送ってもらう制度。相手の異議申し立てがあれば裁判となるが、なければ督促は確定判決と同じ効力を持ち、差し押さえなどの強制執行も可能となる。
 ただ、支払い督促の根拠となる放送法について、消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「そもそも契約自由の原則からいえば、(契約を義務づけた放送法自体が)憲法問題になっていい」と指摘。支払い督促自体についても「受信契約を結んでいれば払う義務は生じるが、ただ裁判になった場合にすべて認められるかは疑問」とする。
 また、支払い督促は「契約」が前提のため、受信契約を結んでいる場合はできるが、もともと未契約の相手を対象にできないという。不払い百十七万件以外に、未契約は約七倍の約八百万件にのぼり、未契約への措置をとらなければ、「未契約なら払わなくていいのか」という新たな不公平感を生むことも懸念される。
 それ以上に危惧(きぐ)されるのが、視聴者の反発だ。受信料制度は「視聴者の善意」で成り立っているとしてきたNHKが、相次ぐ不祥事に端を発した不払い増加の責任を視聴者に転嫁したとも受け取られかねないからだ。このため、NHK経営委員会の石原邦夫委員長も「賛否両論ある。全国の不払い者にやれば大騒ぎになる」との見解を示している。
 受信料制度自体が時代にそぐわなくなっているという指摘もある。
 志賀信夫・放送批評懇談会理事長は「現代は対価主義が常識であり、制度を抜本的に見直し、見た人が払う有料放送に踏み込むべきだ。スポンサー本位に陥りがちな民放と一線を画し、料金に見合う良質な番組を提供するとともに、料金はNHKとは別の組織が集め、NHKの支出もチェックすればいい。できれば国会の予算審議が必要な特殊法人も返上し、完全な自主自立の組織に生まれ変わるぐらいの改革が必要だろう」と話した。
(産経新聞) - 9月9日3時27分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050909-00000000-san-soci