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2005年09月01日(木) 00時00分

弁護団 危険な賭け読売新聞

控訴趣意書見送り 高裁に譲歩迫る?

 オウム真理教の松本智津夫被告(50)の公判を巡り、弁護団が31日、期限までに控訴趣意書を提出しなかったことで、控訴審手続きの混迷状態は一層深まった。1審の死刑判決からすでに1年半。今回の対応により、今後行われる精神鑑定の結果次第では、控訴審の公判が行われないまま死刑が確定する可能性もあり、弁護団の姿勢を批判する声も上がっている。

 弁護団には、訴訟能力の有無を唯一の争点とし、あくまで手続きの進行を拒む強気の姿勢をとることで、東京高裁からの譲歩や有利な鑑定結果を引き出す狙いがあるとみられる。「訴訟能力なし」との結果が出れば公判停止になるが、「訴訟能力あり」との結果が出た場合、控訴はただちに棄却され、1審の死刑判決が確定する公算が大きく、「危険な賭け」ともいえる。

 今回、弁護団は「訴訟能力がないのは明らか」と鑑定の結果を先取りしたうえ、「不明朗な鑑定で訴訟能力が判断されるのは許せない」と、可能だった控訴趣意書の骨子の提出まで見送ってしまった。

 1審で死刑判決を受けた被告が、控訴棄却決定で死刑が確定するケースは25年以上ないが、ベテラン裁判官も「事実上、高裁はいつでも控訴棄却決定ができる状態で、被告人の利益という点から見ても問題のある弁護戦術だ」と指摘する。

 こうした事態となったのは、弁護団が松本被告との意思疎通ができなければ、趣意書を作成できないという立場に固執しているためだ。同高裁は今年1月、弁護団の要望を聞き入れる形で、提出期限を1月11日から8月末まで延長した。その際、弁護団は「被告と意思疎通できなくても控訴趣意書を作成するよう努力する」と約束している。今回、弁護団が趣意書を提出しなかったことにより、事実上、2度にわたって期限を守らなかったことになり、こうした姿勢に複数の法曹関係者は「職業倫理上、問題が多い」と批判している。

http://www.yomiuri.co.jp/features/kyouso/200509/ky20050901_02.htm