悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年08月30日(火) 00時00分

暮らし見つめて ’05総選挙 米国産牛の輸入再開  東京新聞

 国会議事堂に近い東京都千代田区の憲政記念館で七月末、米国産牛肉の輸入再開をめぐる日米公開討論会が開かれた。

 「全頭検査や牛の履歴を判別する仕組みを、日本と同レベルかそれ以上にすべきではないか」

 そう主張する日本側に、米国大使館のクレイ・ハミルトン主席農務官は「米国のシステムは科学的根拠に基づいている」と繰り返し説明した。

 討論には日本側から、日本消費者連盟の山浦康明さん、東京医科大の金子清俊教授、鳥取県畜産農協の鎌谷一也組合長が出席。米国側が求める早期の輸入再開に不安や疑問を次々と投げかけた。

 山浦さんはまず、感染情報の開示を訴えた。米国で今年六月に出た二頭目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛の感染経路や同居牛の処理結果、飼料などの詳細な情報は、明らかにされていない。

 日本で感染牛が見つかった場合、二〇〇三年十二月に施行されたトレーサビリティー(個体識別情報管理システム)制度により、出生農場や月齢など牛の個体別の情報がわかるが、米国で同制度が完全に実施されるのは〇九年の予定だ。

 飼料規制の甘さも不安材料の一つ。日本は牛の肉骨粉の輸入と、家畜への飼料使用を全面禁止した。しかし米国は肉骨粉を鶏やブタに与え、汚染された肉骨粉が誤って牛の口に入る恐れもある。

 検査体制も十分ではない。米国では抜き取り検査で、その対象も全体の1%と少ない。金子教授や鎌谷組合長は検査体制の改善を求めたが、米農務官は「安全面で重要なのは、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位を完全に取り除くこと」を強調した。

 特定危険部位の除去に関しても、日本は全頭に対し、米国は生後三十カ月以上のみと違いを見せる。またニュージャージー州でクロイツフェルト・ヤコブ病患者が十六人と集団発生し、感染牛との関連がうわさされている。その真偽についても回答を得られず、議論は平行線のまま終わった。

    ◇

 米国で感染牛が見つかり、日本が輸入を禁止したのは〇三年十二月。その後、米国は輸入再開を迫り、日本政府は昨年十月、「特定危険部位を除去した生後二十カ月以下の牛肉」に限った輸入解禁で合意。その直前に、国内の検査対象を全頭から生後二十一カ月以上とする緩和案を出すなど、米国の圧力には弱い印象も与えてきた。

 米国産牛肉を大量に調達してきた「吉野家ディー・アンド・シー」は「お客さまから牛丼販売の再開要望も多い」と、早期の輸入再開を望む。

 そうした中、米農務省食品安全検査局は今月十五日、牛肉加工業者に義務づけている特定危険部位の除去で、一年半に千件超の違反があったと発表し、日本の消費者の不信を募らせた。

 山浦さんは「感染牛が混入する危険が捨てきれない今のままの対策で、いくら安全だと言われても信用できない」と話す。

 総選挙のマニフェスト(政権公約)で、各党はそろって「食の安全の確保」をうたう。中でも消費者の関心が高いBSEについて、与党の自民は「適切に対応」とし、公明は直接的には触れていない。

 野党の民主は「消費者の食に対する不安を解消し、一府二省にまたがる食品安全行政の一本化や国際食品調査官の配置など」。共産が「輸入牛の全頭検査と危険部位の完全除去などが不可欠」、社民が「牛肉輸入再開には日本と同等の安全対策の実施を」としている。

 食の安全はくらしの優先事項だ。米国産牛肉輸入再開の前提として、消費者が納得できる対策と情報提供が求められている。 (岩岡 千景)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050830/ftu_____kur_____000.shtml