2005年08月10日(水) 02時57分

兄刺殺の１５歳、自立施設送致　家裁への嘆願書１万3000人超す（産経新聞）

　福岡市で中学三年の少年（１５）が兄（１７）を刺殺した事件で、福岡家裁は九日、殺人の非行事実で送致された少年の第二回少年審判を開き、児童自立支援施設に送致する保護処分を決定した。決定理由で吉田京子裁判官は「兄から受けた虐待により起こされた偶発的事件で、再犯の可能性は低く、少年院送致の必要は認められない」と指摘。「事件の重大性を自覚させるため児童自立支援施設で専門家による心のケアを受け、情操の発達を促すことが必要」と判断した。
　同裁判官は「少年は兄の暴力を普段は受け流していたが、犯行時は自分の命を守るため殺害するほかないと思った」として殺意を認定。「少年の責任は軽くないが、虐待などの経緯から、無理からぬ事情があった」と述べた。
　福岡家裁には、「ずっと友達やけん。頑張れ」など、少年の更生を願う励ましの言葉が添えられた約一万三千人以上の嘆願書が届けられていた。
　送致事実などによると、少年は六月二十三日午後、自宅マンションの部屋で包丁で兄を刺し、別の住民の部屋に逃げ込んだ兄をさらに刺して殺害した。この日は兄がのこぎりを持ち出し少年を切り付けたため、少年は包丁で応酬した。
　福岡地検は七月十五日、刑事処分ではなく保護処分が相当との意見を付け家裁送致していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050810-00000023-san-soci