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2005年07月15日(金) 00時00分

リフォーム詐欺 元から断つ取り組みを 東京新聞

 お年寄りを食い物にする住宅リフォーム被害を、これ以上増やしてはならない。それには法や制度の見直しとともに、関係省庁や自治体、消費者団体などの連携が不可欠である。

 警視庁による悪質業者摘発を受けて、政府は緊急の関係省庁会議を開き対策をまとめた。被害は全国に広がっており、各省庁のバラバラな対応では実効性のある対策は打ち出せない。縦割り行政の枠を超えた連携が必要だ。

 今回の対策は、すぐに実行できるものに絞られており、現行法の厳格な適用や制度の見直しなどを中心にしている。(1)特定商取引法(2)クレジット契約(3)成年後見制度−の三つが柱だ。

 まず、悪質な訪問販売を規制する特定商取引法については、虚偽説明などの違反基準を明確にする。それによって違反業者に対し業務停止などの行政処分を厳格に行うようにするという。悪質業者の締め出しに効果を挙げてほしい。

 次に、クレジット契約を悪用した被害が相次いでいるため、信販業界に対し加盟店契約を結んでいる悪質リフォーム業者の総点検を進めるという。これは業者の収入ルートを断つ有効な手段になる。

 最後に、認知症などのお年寄りに後見人を付ける成年後見制度の改正だ。身寄りのないお年寄りのために、市町村長が後見人選任の申し立てをする際、これまでの四親等までを二親等までの有無確認で済むように手間を省くという。

 認知症高齢者は全国に約百五十万人いるが、法定後見制度の申し立ては約一万六千件と少ない。市町村などは、制度の内容と活用を地域住民に広く知らせるようにしてほしい。

 しかし、悪質業者の温床となりそうな部分は先送りされた。建設業法では五百万円以下の「軽微な建設工事」の場合、許可を得る必要がないという点だ。

 国民生活センターは既に三年前にリフォーム被害の増加を受けて「軽微な工事」の基準などを見直すよう関係省庁に文書で要望していた。

 今回は、「大多数の良心的な業者に負担となる」(国土交通省)などが先送りの理由だが、ある程度の見直しは必要ではないだろうか。

 振り込め詐欺に続いてリフォーム詐欺など、いずれも不安や無知につけ込んだ巧妙な犯罪が横行している。家族や地域社会のつながりが薄くなった現代社会の弱点を突いている。こうした犯罪を社会全体で防ぐにはどうしたらいいか。長期的、総合的な取り組みも必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050715/col_____sha_____003.shtml