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2005年07月08日(金) 00時00分

後絶たぬ悪質商法/高齢者狙い「許せない」朝日新聞・

健康食品・浄水器・リフォーム…

昨年12月、被害女性が25万円で購入した浄水器。クーリングオフを申請したものの、業者側の言い分と食い違い、代金は返金されなかった=大津市の被害女性宅で

 訪問販売で高齢者が次々に商品を買わされたり、リフォーム工事を勧められて契約したりしてしまうケースが県内でも相次いでいる。認知症(痴呆(ちほう)症)のお年寄りを狙ったとみられる悪質な例もある。

 大津市内の認知症の70代の女性宅に健康食品の販売員の男が訪れたのは02年初めごろ。

 後見人となっているおいの男性によると、最初は「飲むと健康になる」という粉末の健康食品3ケース(37万5千円)を売りつけた。女性はクレジット契約させられ、一括払いした。

 03年秋から、大津市や京都市のリフォーム業者や浄水器販売業者が次々に訪れるようになった。女性は言われるままに、浄水器(32万5千円)、羽毛布団(37万3千円)、温泉の効果があるという機械(38万6千円)などを購入。04年2月にヘルパーが見慣れない機械があることに気付き、市消費生活センターに相談するまでに、すでに240万円余りを払っていた。

 その後も、販売員はヘルパーのいない時間を狙って女性宅を訪ね、浄水器や床下の防腐剤などを契約させようとした。その都度、クーリングオフを利用して、解約しようとしたが、5件の契約で解約できたのは1件だけで、後ははがきが戻ってくるなどしているという。

 また、庭の水道に浄水器を取り付けたという契約書も見つかったが、この浄水器の存在自体、確認できないという。

 この女性の兄の自宅にも、同じ頃から販売員が訪れるようになった。この80代の男性も認知症だったが、04年3〜6月の間に、大阪市や兵庫県のリフォーム業者3社に床下工事や屋根補修工事など8件もの工事契約を結ばされ、約300万円を支払ったという。

 親類が訪れて不要な工事をしていることに気付き、業者を追い返したこともあったが、それでも、すきを見て床板改修工事や瓦補修工事などの名目で契約を結ぼうとし続けたという。

 親類が、判断力が不十分な人の財産を管理する成年後見制度を知り、裁判所で登記を済ませた今年に入ってからは、後見人を通さない契約は無効になったため、被害を免れているという。

 おいの男性は「高齢者を食い物にするのは許せない。似たような被害がたくさんあることを知ってほしい」と話す。


「お母さん」と接近
   
70代女性 計59件2600万円分契約も

 野洲市内の70代の女性は、93年11月から今年4月までに、訪問販売で、浄水器や自宅のリフォームなど計59件、約2600万円分の契約を京都市や大阪市などの業者と結ばされた。なかには、2年間で4回も16〜32万円の寝具を売りつけた業者もあった。

 女性は「相手の人は、『お母さん』と言って来る。寂しいし、話し込んでいるうちに契約してしまった。後で、要らない、解約したい、と伝えても『お母さん、そしたら僕が困る』と言われるとなあなあになった」と話しているという。

 これらの契約で女性は退職金2千万円を使い果たし、さらに月々20万円強のローンを負っていた。今年5月、「浄水器が2台あるので1台を解約したい」と市に相談に来て、被害が発覚したという。

 市の担当者が「過量販売である」などと業者と交渉し、支払い分の料金など約900万円を回収したが、相手が倒産するなどどうしても取り返せないものも800万円余りあるという。

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 県立消費生活センターによると、不要な商品などを売りつける「次々販売」の相談は、00年度は130件だったが、04年度は302件にのぼる。うち、65歳以上の高齢者の占める割合は約15%から40%にまでなっている。同センターは「周りの人が被害に気づいたら、すぐに相談してほしい」と注意を呼びかけている。
(7/8)

http://mytown.asahi.com/shiga/news02.asp?kiji=5358