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2005年07月01日(金) 03時00分

リフォーム詐欺:「修理」終えても次々 別社名でまた訪問毎日新聞

 高齢者らを狙った悪質な手口が警視庁の捜査で明らかになった。サムニングループによる訪問リフォーム詐欺事件。住宅について知識のない人たちの不安をあおり、次々に契約を結ぶ。変更した会社名で訪れ、別会社を装って新たな工事を繰り返し、被害を次々と拡大させていった実態が浮き彫りになった。【扇沢秀明】

 ◇被害夫婦に「まだ足りぬ」

 東京都内に住む70代の老夫婦は、サムニングループに不必要な“耐震改修”などを繰り返され、相場の30倍の900万円以上で契約した。「危ない」「大変なことになる」。営業マンは二つの会社名を使い分けて点検を装い、阪神大震災のボランティアで惨状に胸を痛めた、夫のやさしさにつけ込んだ。

 閑静な住宅街に建つ築30年の一戸建て。一昨年秋に別の業者で屋根修理をした後、サムニンジャパンの営業マンが来るようになったという。

 最初は昨年6月、作業着姿の若い男。「瓦を替えたようだが、中がそのままではだめ」と言い、20分ほど天井裏を“点検”。「梁がゆがんでいる。地震が来たら危ない」と深刻そうに言い、「重さは基礎に掛かるので、床下を補強すれば大丈夫」と絵を書いて説明。更に床下を見て「カビが生えている。湿気対策も必要」と付け加えた。

 契約書には、個別の材料費が書き連ねられ、いくつかの項目が赤で囲まれていた。「ここだけがお客様負担。後は私たちが持ちます」という説明に、夫婦は「こんなに割り引いてもらっていいの」と思ったという。

 夫は元教員。阪神大震災後、目前で父親を亡くし失語症になった少年の立ち直りのため、自費で毎週のように神戸市の少年宅を訪ねた。言葉を取り戻すまで3年間。少年は最後「お父さん」と呼んでくれた。その間に見た震災の惨状が目に焼き付いていた。

 完成後の7月には別の営業マンが「工事の点検に来た」と訪れ、1時間ほど話した後「床下がまだ弱い」と指摘。夫婦は追加工事を契約した。

 3度目は11月、今度は「ブリッジウォール」という会社の営業マンが「水道管を点検する」と訪れ、やはり「修理しないと大変なことになる」と話した。サムニンジャパンの営業マンに水回りの不安を話したことはあるが、この会社は初めて。「なぜ水回りの心配を知っているのか」とも思ったが、「ちょうどいい」と契約した。

 だが、あまりのタイミングの良さなどを不審に思い、夫婦は都建築士事務所協会理事の一級建築士、広瀬淡さん(60)に相談。調べたところ、563万円を払った最初の改修は20万円▽140万円を払った2回目は5万円▽200万円の3回目も5万円−−でできる工事と判明。また、ブリッジウォールは詐欺などの容疑で逮捕された元サムニンイースト社部長、橋壁浩二容疑者(29)が社長を務めるサムニングループの会社だった。

 広瀬さんは返金などを求めたが、返ってきたのは「貴様、何の資格でやってんだ」の怒声。ひるまず続けると、次は「黙って家に上がっていない」「民法上問題ない」などと抗弁。しかし建築の専門知識で追及し続けると、1回目をほぼ半額にし、残りは返金・解約することに合意したという。

 夫婦は同社の摘発を聞き「親切顔で近づき、人の不安につけ込むひどいやり方。摘発されて本当に良かった」。広瀬さんは「実は悪質業者は苦情が公になるのを嫌がる。おかしいと思ったら、契約後でも恐れずに専門家に相談してほしい」と話している。

 ◇不安あおる手口駆使

 「無料で点検しています」「すぐに工事しないとまずいですよ」……。戸建ての住まいに訪れてきた営業マンが、高齢者夫婦を不安に陥れて、必要のない工事契約を繰り返す。サムニングループによるだましの手口が、警視庁の調べで明らかになってきた。

 サムニンイースト元地域担当部長、鎌田悟容疑者(28)らは、他のリフォーム会社の顧客名簿をもとに大手電力会社を名乗り電話し、「過去にリフォームしましたね。無料点検をしています」などとアンケートを装って、家族構成などを聞き出し、高齢者宅かどうか見極めて営業。

 他のリフォーム会社の「建材の開発サイドの社員」をかたり訪問、「新建材に欠陥があったので調査している」と被害者宅に上がり込むこともあった。一方で、「金がない」などの理由で、契約に難色を示す顧客には、「わが社には実習工事制度がある。それを利用すれば安くできる」と説明して、割安感をあおることもあった。雨漏りのした他の住宅でわざと焦点を合わさずに撮影したインスタント写真を見せ、「すぐに工事しないとまずいですよ」などとも勧誘していたという。

 逮捕された4人のうち、鎌田容疑者ら3人は「うそをついて代金を払わせたことはない」「被害者についてはよく覚えていない」などと供述、容疑を否認している。サムニンウエスト元地域担当部長、桑原和寛容疑者(26)は「会社の営業方針に従って事実と違う説明をして営業を取り付けた」と供述しているという。【合田月美】

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050701k0000m040146000c.html