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2005年06月15日(水) 00時00分

リフォーム業者契約 預金3000万円空っぽに男性宅のリビングの床下。換気扇や補強金具などがあちこちに見え、地面には除湿剤の袋などが所狭しと並べられている=今治市内で朝日新聞・

今治の精神疾患の男性
未返済ローン580万円も


  全国で高齢者宅を狙った高額リフォーム契約が問題となっている中、今治市の精神疾患の男性(62) が02年からの3年間で、複数の訪問リフォーム業者らと少なくとも1300万円もの契約を結ばされ、その支払いに預金のほとんどを失っていたことが、わかった。男性の親族は「人の弱みにつけ込み悪質だ」 と、業者らに契約の解除と代金の返還交渉に乗り出している。

親族 「悪質」 と返金交渉

  この男性は78年に精神疾患をもつようになった。通常よりも検討能力や経済管理能力に劣るが、日常生活は可能で、00年から一人暮らしを続けている。

  親族が男性の異変に気づいたのは今年5月初旬。男性には両親の遺産などによる3千万円以上の預金があり、普段から質素な生活をしていたはずが、「金を貸してほしい」 と突然、電話がかかってきた。親族が男性宅に駆け付けると、タンスの中から訪問販売の領収書やリフォーム契約書の山を見つけたという。

  床下工事83万円、床下などに敷く木炭マット85万円など、大半が住宅リフォーム関連の契約書や領収書で、総額は1300万円を超えたという。男性の日記や通帳の入出金記録などと照合すると、領収証や契約書のないものも多数あるとみられる。預金がすべて無くなっていたばかりか、未返済ローンも約580万円あった。

  02年に292万円で契約したシステムバス。本体価格は160万円だったが、180回(15年間) の分割払いとしたことで、分割手数料だけで132万円も取られていた。親族も「60歳近い人間に15年ものローンを組ませるとは」と驚いたという。しかも、この男性は親族が来るまでシステムバスの使い方も分からないでいたという。

  男性宅を見せてもらうと、リビングの床下には新しい砂が敷き詰められ、その上に湿気取り用と思われる袋詰めの木炭などが置かれていた。狭い空間には、換気扇や金具などが所狭しと取り付けられている。三つの業者が入れ替わり立ち替わり、防湿剤や換気扇を設置していったという。

  2階の天井裏をのぞいてみると、やはり複数の換気扇が見えた。懐中電灯で照らすと、長さ10センチほどのねじ数十本が無造作に散らばっていた。

  男性によると、業者たちは家の中に上がり込み、契約するまで何時間も居座ったこともあったという。また契約後に男性を銀行まで連れて行って金を払わせたこともあったという。「一人暮らしやからって、馬鹿にして……」。 男性は悔しそうに拳を握りしめた。

  男性の親族らは今月上旬、県生活センターを通じて業者らとの契約解約や返金、ローンの支払い停止などの交渉を始めた。一部の業者は返金の交渉に応じているという。

  親族らは、判断能力が十分でない人に代わって、親族や弁護士が財産管理をする成年後見制度の適用申請についても、検討しているという。親族の一人は「業者らは人の良さと病気をいいことに、お金をむしり取っていった。許せない」 と憤る。

  一方、この男性とリフォーム契約した会社の担当社員は取材に対して、「病気のことを知らなかった。今後の対応は検討する」 と話した。


(6/15)

http://mytown.asahi.com/ehime/news01.asp?kiji=4967