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2005年06月12日(日) 03時00分

訪問リフォーム:クレジット契約記載不備 信販4社指導も毎日新聞

 埼玉県富士見市の認知症の老姉妹が全財産を失った訪問リフォーム問題で、姉妹が結んだ4件のクレジット契約書すべてに、特定商取引法(特商法)に違反する記載不備があることが分かった。中には契約日や施工業者名すらないものがあり、専門家は計15カ所の不備を指摘する。違反を問われるのは業者だが、信販会社も明らかな不備を見過ごしており、経済産業省は当該の信販4社から事実関係を聴くなどして調べている。【扇沢秀明、遠藤和行】

 4社が03年中に姉妹と結んだ契約書を毎日新聞が入手した。姉妹は4社と計907万7169円の契約をしたが支払えず、うち2社から家を競売にかけられた。しかし問題発覚後、4社とも契約を解除し、競売も取り下げられた。業者は信販会社の加盟店で、客が分割払いなどを希望すると、この信販契約を紹介。信販会社は書類を点検して客本人に確認し、支払い能力などを審査して契約することになっている。

 最もずさんな契約は、東京都内のリフォーム業者が「調湿剤工事」名目で100万円のローンを組ませた例。申込日も商品の引き渡し日も書いておらず、販売店名も空白のままだった。また「商品名・形式」の欄にはメーカー名や型式、単価などを書き、工事を伴う場合は工賃も記載しなければならないが、一切を「調湿剤工事」で済ませていた。工事であれば「有」と書く役務欄も、「無」になっていた。いずれも特商法第4条で義務付けられている記載で、違反すれば100万円以下の罰金になる。

 このクレジット契約を受けたのは、関西に本社を置くA社。しかし同社は「申込日のない契約書を通すことはなく、当社に来ている契約書とは違うとしか考えられない」と否定。「契約内容は加盟店(業者)とお客様が話し合って確認しており、管理に落ち度があったとは思わない」と言う。

 契約額が最も大きかったのは、東京に本社を置く大手信販B社。準大手のリフォーム会社が568万円の工事を姉妹から受注し、姉妹はB社と42回分割・約640万円のクレジット契約を結んだ。1回の支払額は約15万円で、姉妹の年金月収全額にあたる。しかし、この契約書も商品名や工事期間、工事内容が未記載だった。これについてB社は「契約書には別紙で明細があると報告を受けている。この業者は取引停止にした」と答えた。

 さらに約58万円の信販契約を結んだC社の書面と、約110万円の契約のD社の書面では「役務の提供」などが書かれていない不備があった。C社は「不備があるのは事実。今後は不備のないよう加盟店を指導し、チェックしていく」。またD社は「契約の効力にかかわる不備はなかったと認識している」と答えた。

 4社の契約書について、消費者問題に詳しい東京経済大教授の村千鶴子弁護士は、計15カ所の不備を指摘。「このような不備があると、消費者がどういうものにお金を払うか判断できず、意味がない」と批判する。

 経産省は4社から事情を聴いており、加盟店の管理不十分などが確認された場合、信販会社の指導も検討している。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050612k0000m040111000c.html