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2005年05月21日(土) 00時00分

リフォーム・狙われる老世帯:/下 弱者の情報、どう把握毎日新聞

 畑と宅地が混在し、所々に新緑まぶしい林が残る。埼玉県富士見市でリフォーム被害に遭った姉妹の家は、典型的な郊外型住宅地にある。姉妹はほとんど近所づきあいをしなかったが、それでも近所の人がリフォーム業者の頻繁な出入りを気にし、家が競売にかけられたことを市に通報して事態が分かった。あなたの街はどうですか−−。

 都市や、その周辺の郊外型住宅地は、従来の共同体が崩れ、弱者が孤立しがちだ。同市高齢者福祉課の庄野拓男課長は「一昔前は各町内にお世話役的な方がいたが、今は望めない。今回のように介護保険などの公的サービスを受けず、近所づきあいもない方は、暮らしぶりの把握が難しい」と話す。国民生活センター調査役補佐の河岡優子さんも「身寄りのない人、家族から離れている人が訪問販売被害に遭いやすい」と眉(まゆ)を曇らせる。

 西東京市の団地。02年2月、74歳の認知症の妻が夫の死を分からず、その後約1カ月、食事の支度などを続けていたのを管理人が見つけた。夫婦は介護保険などの公的サービスを受けず、地区の民生委員は欠員だった。

 「福祉サービスを受けず、接触のない人の情報は足で集めるしかない」。東京都民生児童委員連合会の上野純宏事務局長は苦慮する。現在、都内には約1万人の民生委員がいるが、支援の必要な高齢者を把握するのは年々難しくなっている。東京都社会福祉協議会も「最近は自治会に加入しない人が多く、問題があっても、本人から相談がないと分からないのが実情」と言う。

 さらに、今春全面施行された「個人情報保護法」が、対応を難しくしている面もある。

 上野事務局長によると、「見守り」に必要な個人情報が、法施行後は役所から提供されなくなった。「以前は60歳以上の人や独居の人などの名簿をもらえたが、今はだめです」。それは自治体の福祉部門にとっても、自らの手を縛ることになっているという。関東のある市の担当者は「住民票から分かるのは、年齢と単身世帯かどうかだけ。その先は民生委員さんの役割が大きい。机に名簿を広げて席を立ち、あうんの呼吸で情報を提供したこともある」と打ち明けた。上野事務局長は「プライバシーと地域福祉の推進を両立させるため、適切なルールを作ってほしい」と求める。

 富士見市は、今回の反省に立ち、地域の高齢者情報を集める仕組み作りの検討を始めた。例えば、災害時の避難対策で職員が各町内を回り、避難時に支援を希望する高齢者や障害者を募って実情を把握▽医師会に高齢者向けの医療講習会を開いてもらい、接したときの様子から認知症などを早期発見する−−などだ。庄野課長は「地域に複数の網を掛ける必要性を痛感した」という。

 ◇「だまされない」が危険

 東京三菱銀行は03年、こんな内容のリポートを出している。

 《全国4400万戸の住宅のうち、木造の6割・1600万戸、鉄骨・鉄筋コンクリートの1割・150万戸が、既に老朽化。築年数の長い家ほど65歳以上の高齢者が暮らす割合が高く、築20〜30年で34・7%、30〜40年で46・6%、40年以上では67・2%に達する。「高齢者が住む築20年以上」の家は全国に939万戸あり、老朽化住宅は今後20年間、さらに毎年120万〜140万戸ペースで増える。内閣府調査に住宅が「傷んでいる」「使いにくい」と答えた高齢者は急増し、一方で60歳以上の平均貯蓄額は2173万円ある》

 この現実が、リフォーム市場を5兆円産業に押し上げ、高齢者を狙う詐欺的商法の土壌にもなっている。法や行政の対応は立ち遅れており、国を挙げてのセーフティーネット作りは急務だ。が、もう一つある。

 「私は、だまされない」。悪徳業者が狙っているのは、何より、その心の隙(すき)なのだ。(この企画は扇沢秀明が担当しました)

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 この企画へのご意見、ご感想をお寄せ下さい。また、ご自身や身近な方の訪問リフォームなどの被害体験も、併せて募集します。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便は〒100−8051(住所不要)毎日新聞生活家庭部・リフォーム取材班。メールは表題を「リフォーム投稿」とし、t.seikatsu@mbx.mainichi.co.jpへ。匿名希望の方はその旨も明記して下さい。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/katei/news/20050521ddm013100087000c.html