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2005年05月18日(水) 17時50分

サイトの体裁を変えるFirefox拡張機能『グリースモンキー』WIRED

 かつて「ホットロッド」と呼ばれる改造車で傍若無人に走り回る若者たちがいたが、これはその現代版と言えるかもしれない。『Firefox』(ファイアーフォックス)の一部のユーザーたちが、改造したブラウザーを使って、好き放題にウェブサイトに手を加えている。

 こうしたユーザーは、『Gメール』(Gmail)に削除ボタンや常時検索フォルダを追加したり、ブラウザーがオンライン版ニュース記事の印刷ページだけを表示するようにしたり、人気のある音楽サイトのコンテンツを丸ごと再構成したり、オンライン・ニュースリーダー『 http://www.bloglines.com/ ブログラインズ』からロイター通信が報道するマイケル・ジャクソンの記事を取り除いたりしている。

 イギリスでコンピューターサイエンスを学ぶ学生、 http://simon.incutio.com/ サイモン・ウィリソンさんは、ハッキングとプログラミングに関するポール・グレアム氏の http://paulgraham.com/articles.html オンライン・エッセイの熱烈な読者だが、本文から脚注にスクロールし、そしてまた本文にスクロールして戻らなければならないことに不満を募らせていた。

 そこでウィリソンさんは、『JavaScript』を少しばかり使い、本文と脚注の間のリンクを自動的に生成するプログラムを書いた。数週間後、グレアム氏はウィリソンさんにメールを送り、すべての読者が利用できるように、リンクの追加をもうすぐ始めるつもりだと説明した。

 こうした変更は、Firefoxの拡張機能『 http://greasemonkey.mozdev.org/ グリースモンキー』によって可能になった。グリースモンキーを組み込んでカスタム・スクリプトをロードすると、特定のウェブサイトを訪問するたびに、ページの体裁を変更して表示できる。

 グリースモンキーを使っているのはまだ最先端のFirefoxユーザーだけだが、ウィリソンさんは、この拡張機能をウェブの力学に生じる変化の前触れだと考えている。

 「グリースモンキーは、ウェブをリミックスする能力を提供する。ブラウザーの制御をユーザーの手に返すことになる」と、ウィリソンさんは語る。

 「ウェブサイトの設計者がユーザーに望む操作と、ユーザーが実際に行なう操作とは、つねにせめぎ合っている。グリースモンキーは、この力関係をユーザーの方向へ確実に引き寄せる」

 グリースモンキーは、アーロン・ブードマン氏によって最初に書かれた。2004年12月に友人を楽しませるために書いたプログラムだが、カルト的な人気を博するようになり、ブードマン氏は嬉しい驚きを感じているという。

 Firefoxのユーザーがスクリプトを使用するには、グリースモンキーを最初にインストールしておき、目的にかなう特定の http://dunck.us/collab/GreaseMonkeyUserScripts/ スクリプトを見つけてロードする必要がある。

 ユーザーたちはこれまでに、115以上のウェブサイト向けのスクリプトに加えて、どのウェブサイトでも使える60以上のスクリプトを投稿している。

 単に広告をブロックするだけのスクリプトもかなりの数にのぼるが、ウェブサイトのアクセシビリティーやXMLに関する業績で知られるプログラマー、 http://diveintomark.org/ マーク・ピルグリム氏は、サイトを網のように繋ぎ合わせるスクリプトが最も素晴らしい——そして、最も重要だ——と考えている。

 ピルグリム氏は例として、『ヤフー・マップス』のページに『グーグル・マップス』へのリンクを追加したり、ブログラインズや『del.icio.us』(デリシャス)などのウェブサービスを組み合わせるスクリプトを挙げた。

 「『アマゾン・コム』のページを対象にしたスクリプトで、アマゾンで探している書籍が地元の図書館で貸し出し可能かどうかを知らせてくれるものがある。その意味を考えてほしい。これは驚くべきことで、しかも自動的に起こる。自分が使う図書館を一度設定しておけば、グリースモンキーはつねにデータを取ってくる」とピルグリム氏。

 オンライン版 http://diveintogreasemonkey.org/ グリースモンキー・ガイドをすでに書き上げ、米オライリー・メディア社から出版されるグリースモンキーの解説書を執筆中のピルグリム氏は、 http://www.wired.com/news/images/manual/67527_greasemonkey1.html シカゴの交通網地図とグーグル・マップスを繋ぎ合わせる(画像)スクリプトがお気に入りだ。

 このスクリプトは、シカゴを拠点とするウェブ開発者の http://holovaty.com/ エイドリアン・ホロバティー氏によって書かれた。ホロバティー氏は、ある本格的な http://holovaty.com/blog/archive/2004/07/19/2210 Firefox拡張機能を書いたことで、意図せずしてグリースモンキーの誕生に貢献することになった。この拡張機能は、『 http://www.allmusic.com/ オールミュージック』の新しいデザインを無効にし、模様替えで別のページに移ってしまったバンドとアルバムの詳細な情報をインライン表示に戻すものだ。

 ブードマン氏はこの拡張機能から着想を得て、時間をかけ長々とコードを書いて拡張機能を作ることなしにページの体裁を変えるための、スクリプトを書く簡単な方法を考案した。

 だが、グリースモンキーの機能はいくつかの問題を引き起こす可能性がある。

 たとえば、信用できない出所からのスクリプトや、コミュニティーでまだ吟味されていないスクリプトをインストールすれば、ユーザーはパスワードを盗まれてしまう可能性がある。

 また、グリースモンキーの人気の高まりがきっかけで、企業が自社サイト向けのグリースモンキーを使用できなくするとか、ユーザーやスクリプトの開発者に対して訴訟を起こすとかいった事態さえ考えられる。

 しかし、いくつかのオンライン・ニュースサイトのコンテンツ管理を担当しているホロバティー氏は、グリースモンキー用のスクリプトが作られたサイトの企業にとって、こうした反応はまったくの的外れだと考えている。

 「もし誰かが私の管理するサイトに素晴らしい機能性を追加するグリースモンキーのスクリプトを書いたとすれば、有頂天になるだろう」とホロバティー氏。

 「ユーザーがグリースモンキーのスクリプトを書いているなら、ユーザーが気にかけているということだ。ユーザーインターフェースが一定の水準に達していないというメッセージを送っているのだ」と、ウィリソンさんは語る。

 ウェブを書き換える能力があるのはFirefoxのユーザーだけではない。

 ノルウェーのオペラ・ソフトウェア社が最近、 http://www.opera.com/support/tutorials/userjs/examples/ 同じような機能を発表している。

 ホロバティー氏は、父親が交通網地図の拡張機能をインストールするのにかなり苦労していたのを見て、インストールの手順をもっと簡単にしたいと思っている。

 ホロバティー氏は、グリースモンキーのスクリプトを、インストールが簡単なFirefox拡張機能に変換できる『 http://www.letitblog.com/greasemonkey-compiler/ グリースモンキー・コンパイラー』を作成した。今後はさらに、『Internet Explorer』(インターネット・エクスプローラ)や『Opera』(オペラ)用のスクリプトも出力できるようにしたい考えだ。

 個々のブラウザーがコンテンツに変更を加えるという発想は、ウェブのあるべき姿だと、ウィリソンさんは考えている。

 「ウェブは、サーバーとユーザー・エージェント[ウェブの情報を受け取るクライアント・ソフト]のための単なる標準だ。ユーザー・エージェントはすべての制御をサーバーに明け渡さなければならないなどとは、ウェブの仕様に書かれていない」とウィリソンさん。

 「グリースモンキーを使えば、面白いことがとにかく簡単にできるようになる。ユーザーがグリースモンキーを活用するのを阻止するために、サイトができることはあまりない。馬はすでに解き放たれたのだ」

[日本語版:福井 誠/高森郁哉]日本語版関連記事

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(WIRED) - 5月18日17時50分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050518-00000002-wir-sci