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2005年05月05日(木) 00時00分

顧客とのトラブル続出 商品先物取引大手に重い処分  東京新聞

 商品先物取引大手のグローバリー(本社名古屋市)が、先月末、経済産業省や農林水産省などから最長三十三日間の営業停止という重い処分を受け、業界に大きな衝撃が走った。投資家との間で多くのトラブルをかかえていた同社への厳しい処分、そして投資家保護を打ち出した改正商品取引所法の施行(五月一日)は、先物取引業界の抜本的改善を迫っている。

  (白井 康彦)

 東海地方に住む三十歳代の会社員Aさんは先月二十六日、同社を相手にして約千四百万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。

 訴状によれば、同社の従業員らが「利益が生じる」とか「損失を回復できる」と言って、Aさんに昨年五月から九月までガソリンや銀などの先物売買を反復的にさせた。

 損失が広がっても営業マンは「取り戻しましょう」とあおり、取引をなかなか終了させなかった。Aさんは一千万円以上の預貯金があったが、知人らから借金を重ねる状態にまで追い込まれた。

 しかし、同社の「大分事件」を知って、縁切りを決意したという。

 大分県内で二〇〇〇年、同社の顧客の会社員男性が同社の営業担当者(22)=当時=の首をロープで絞めて殺害し、現金を奪った事件。事件を起こした男性は電話勧誘で同社と取引を開始したが、損失が膨らみ、消費者金融会社から借金するなど苦境に陥っていた。

 男性は大分地裁で懲役十五年の判決を受けたが、判決は同社の営業の進め方について「全体として組織的な違法行為であった可能性が高い」と批判した。男性がグローバリーを相手取って起こした損害賠償の民事訴訟も、男性が勝訴している。

 同社に対する行政処分は、五月十日からの業務停止などで、停止日数は商品ファンド(先物相場を投資対象にした投資信託類似商品)の販売が八日間(営業日)、会社自体が先物取引を行う自己売買は十五日間(同)、顧客からの注文の受託業務は三十三日間(同)。先物取引会社に対する初回の業務停止の日数としては過去最長。

 処分を出した経済産業省商務課の担当者は同社に関して「顧客とのトラブルがすごく多い」と説明。これまで同社への行政処分がなかったことについては「一九九三年から何百件ものトラブルを(同社が)巧妙に隠していたため」という。

 弁護士グループ「先物取引被害全国研究会」の半年ごとの集計でも、トラブルの量は同社がここ五回連続で、業界最多。「二、三十歳代の会社員を主な顧客にしており、取引をなかなか終了させず、大損した顧客が消費者金融会社から借金をする状態に追い込まれることが少なくない」と弁護士は説明する。

 改正商品取引所法では、顧客の知識、財力などを考慮して勧誘することが明記された。七十五歳以上の高齢者と年収五百万円未満を顧客にすることを禁じるガイドラインも示された。

 業界側は「絶対もうかる」と甘い言葉で電話勧誘するような商法は控えざるを得ない。生活者の側も「先物取引はきわめて危険性の高い投資」という常識をきちんと身につけることが大切だ。

■グローバリー会見 

 国の処分が出た翌日の四月二十八日、グローバリーの山田保弘社長は記者会見で次のように答えた。

 ——数百もの顧客とのトラブルを隠していた、と経済産業省が指摘している。トラブルの内容は。

 「注文間違いというものも存在する。顧客の認識と大幅に違う結果が出て損失が大きくなったときに担当者が対応するケースもある。一概にどれがどうとは言えない」

 ——トラブル件数が業界トップクラスであることをどう思うか。

 「言い訳のようだが、顧客数が業界でも突出して多いことがある。それも考えるとトラブルが特に多い状況ではない」

 ——顧客が借金を抱えるまで取引を続けさせることがある点はどうか。

 「そういう取引は一切やるなと指導してきたが、一部の外務員がそうしたことを分からずにやってしまったことがあり、残念だ」

 ——女子マラソンの野口みずき選手をセールストークに使ったケースもあるようだが。

 「野口選手を宣伝材料として営業活動することは禁じている。ただ、顧客から『野口選手の会社ですか』と話が出てくるケースはあると思う」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050505/ftu_____kur_____001.shtml