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2005年04月27日(水) 16時32分

花ヴェール薬事法違反:「命、金もうけの手段に」−−怒る被害者の妻 /東京毎日新聞

 ◇都内でも2人死亡
 化粧品・健康食品販売会社「日本花ヴェール健康学センター」(渋谷区)による薬事法違反事件。警視庁生活環境課の調べでは、同社社長、足立和子容疑者(66)に「末期がんでも大丈夫」と勧められ、卵白や小麦粉が原料で効くはずもない薬を使い続けた同社の会員は全国で数千人に上り、同社は約12億円を荒稼ぎしていた。結果的に、全国で少なくとも8人が死亡したといい、うち2人は50代と60代の都内の男性だった。
 「少しでも良くなるのなら、寿命が1日でも延びるのならと必死だった。まさか人の命を金もうけの手段にするなんて」。埼玉県春日部市の居酒屋経営、鈴木和子さん(63)の夫久明さん(当時65歳)は、同社の薬を使い続けて死亡した8人の被害者のうち1人だ。
 久明さんは40歳のころ、鋳物工場を辞めて豆腐店を始めた。久明さんが極めた豆腐は滑らかで味もいいと評判に。「スーパーの豆腐はもう食べられない」と久明さんの豆腐を待つ客のため、いつも定時に車で行商に回った。
 末期がんと宣告されたのは02年9月。和子さんは、久明さんにかける言葉もなかった。そんな時、知人から同社の話を聞いた。「がんが治る」という言葉にすがるような思いで夫婦で本社を訪ねた。足立容疑者は「大丈夫。本当に効きますから」と説明。「貼(は)りっ粉はここに」と久明さんの背中と腹にマジックで印を付けた。「貼りっ粉」「桂寿」など1カ月分を約10万円で購入。帰りの電車で久明さんは明るい表情を見せたという。
 がんの進行で飲み込むことさえ苦しかったが、痛みに耐えて桂寿を飲み続けた。貼りっ粉を張ると、我慢できないほどのかゆみを伴った。それでも久明さんは約1カ月、休まず続けた。しかし効果は全くなかった。
 久明さんは「せめてあと一度だけでいいから、豆腐を作りたい。お世話になったお客さんに『ありがとう』と言って配って回りたい」と最後まで繰り返し、息を引き取った。和子さんは「余命わずかと突然宣告されれば、誰でも冷静ではいられない。そんな気持ちを利用して商売をするなんて……。インチキ薬だったなんて。腹が立って仕方がない」と話した。【合田月美】

4月27日朝刊
(毎日新聞) - 4月27日16時32分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050427-00000051-mailo-l13