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2005年04月21日(木) 00時00分

不動産担保ローンに注意 借金総額膨らむ危険も 東京新聞

 借金の返済に追われる多重債務者が飛びつきやすいのが、高額をまとめて借りられる「不動産担保ローン」だ。いくつかの消費者金融会社が扱っており、無担保ローンよりは低利なため、借金をまとめることで月々の返済も楽になると考えやすい。しかし、実際には借金総額が大幅に膨らんで、解決が難しくなり、家族・親族も苦しめる結果につながりやすいという。多重債務者の支援団体は「不動産担保ローンには手を出さずに、早めに法的解決を」と呼び掛ける。

 (白井 康彦)

 東海地方に住む自営業者Aさん(45)は不動産担保ローンの利用を「大失敗だった」と反省する。

 Aさんは住宅ローンの返済中だが、パチンコや酒にのめり込み、家族に内証で一九九五年から消費者金融会社の無担保のローンを利用するようになった。返済のためにまた借りる悪循環に陥り、二〇〇一年夏には六社に対して約三百万円の借金残高があった。

 返済に苦しんだAさんが飛びついたのが、消費者金融のB社が扱う不動産担保ローン。マイホームを担保に三百万円借りて、六社の無担保ローンは完済した。六社の金利は年20%台後半だったが、B社は年21%だった。

 ところが、「遊興癖」という根本的な問題は解決しておらず、無担保ローンを再び利用。それが家族にばれ、いったんは親族の協力を得て二百万円以上を完済したが、その後、再び無担保ローンで約二百万円の多重債務に。今度は、消費者金融C社の不動産担保ローン(金利年18%)を四百九十万円借り、B社の不動産担保ローンと無担保ローンを完済した。

 Aさんの借金の全容が家族にばれたのは昨年初めのこと。C社のローンに加え、さらに三社の無担保ローンで百四十万円の借金が増えていた。Aさんは「家族に合わせる顔がなく、車の中で夜を過ごした」と振り返る。

 結局、多重債務者の救済団体に相談して簡易裁判所に特定調停を申し立てた。無担保ローンの三社とは調停がまとまって負担が軽くなったが、C社は不動産を担保に取っていることを盾にして妥協せず、調停は不成立。C社に対しては今も契約通り毎月約八万円の返済を続けている。

 Aさんは「もっと早く生活態度を改めて特定調停を選べばよかったが、制度があることを知らなかった。不動産担保ローンに手を出したことで一千万円以上も損をした」と反省する。

    × ×

 住宅ローンを返済中の人が多重債務を抱えた場合は破産は選びにくい。マイホームを手放さざるを得ないからだ。だが、有効な解決策はある。特定調停や任意整理、個人再生といった手続きだ。

 ともに、住宅ローンの債務額は変えない。他の債務については一定のルールで圧縮し、手続き終了後の返済は利息を付けずに元金だけとする。これにより通常は、毎月の返済額が大幅に減る。

 個人信用情報機関のいわゆるブラックリストに載り数年間は新たな借金が難しくなるが、「収入の範囲内に支出を抑えていく」生活の基本に立ち返れば問題はない。

 不動産担保ローンで借り換える場合、債務額を圧縮しないまま無担保ローンを完済することでまず損をする。ブラックリストに載らないことも弁護士らは「借り癖がついた多重債務者にはプラスにならない」。Aさんのように不動産担保ローンを借りた後、無担保ローンの借り入れを復活させてしまう人が多いのだ。

 弁護士らは「不動産担保ローンを含む多重債務の処理が難しい」ことも指摘する。個人再生手続きは法律で使えない。特定調停や任意整理でも不動産の担保を取っている消費者金融会社は、そのことを盾に債務者の要求に応じないことが多い。

 多重債務者が、不動産を持つ親族に頼み込んで不動産担保ローンを借りることもある。結果的に親族に迷惑をかけることが多いので、この形での不動産担保ローンの利用も極力避けるべきだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050421/ftu_____kur_____001.shtml