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2005年04月16日(土) 00時00分

知的財産高裁 競争力強化に活用を 東京新聞

 特許権などをめぐる訴訟を扱う知的財産高等裁判所が今月から東京に発足した。知的財産の確立や保護はビジネスや研究上、ますます重要になっている。司法判断の統一性を確立してほしい。

 知財高裁の初代所長に就任した篠原勝美氏は「わが国の知的財産訴訟をリードする中核の役割を担いたい」と語った。

 政府は二〇〇二年から、知的財産の保護と活用を通じて国際競争力をつける「知財立国」を掲げている。知財専門の裁判所が今後、知財立国を後押しできるよう期待する。

 知財訴訟は国際的に増加傾向にある。知財が経済力につながることがわかってきたからだ。知財専門裁判所は既にドイツや英国、米国、韓国に相次ぎ設置されている。

 日本初の知財高裁は、特許権や実用新案権などに関する侵害訴訟の控訴審を一手に引き受けるとともに、特許庁が決めた特許などの有効無効を判断する審決取り消し訴訟の一審も同時に扱う。裁判官十八人を抱える大所帯だ。

 何が権利侵害に当たるかの判断や賠償金額の算定など、判決のばらつきをなくすことが第一である。

 有名な青色発光ダイオードの発明者、中村修二氏が元の勤務先を訴えた損害賠償訴訟では、一審で二百億円認められたが、控訴審では八億四千万円で和解した。金額の差が大きすぎる。こうした発明の対価や高度に技術的なソフトウエア特許などをめぐる司法判断の統一性が求められている。説得力ある理由を示して、明確なルールを打ち立ててほしい。

 裁判の迅速化も産業界から要望が強い。知財訴訟の審理期間は以前と比べてかなり短縮されているが、知財ビジネスにとって特許侵害などの対応にスピードは欠かせない。

 知財訴訟を進めるうえで、昨年四月に発足した専門員制度を活用したい。医療や化学、コンピューターなど科学技術分野の大学教授や研究者ら計百数十人が非常勤の専門員に任命され、必要に応じて法廷で助言をする。実務に通じた調査官をもっと増やす必要もある。

 それだけでは不十分だ。産業界からは、先端技術に詳しい「技術系裁判官」の要望が強い。若手裁判官がドイツや米国に派遣され知財訴訟の研鑽(けんさん)を積んだが、今後は法科大学院で知財問題に強い法曹者の養成に力を入れてほしい。

 また、弁護士有志が知財問題に関する全国ネットワークをつくり、研修や情報交換を進める準備をしている。法曹界全体で知財問題に取り組み、レベルを上げることが必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050416/col_____sha_____003.shtml