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2005年04月14日(木) 00時00分

消費者の“苦情”商品開発に ネット活用『クレーム博覧会』 東京新聞

 消費者からのクレームをインターネットのホームページで集め、新商品開発に生かす福井商工会議所(福井市)の「クレーム博覧会」が注目を浴びている。会議所の仲介で企業が消費者から「クレームを買う」ユニークな仕組み。全国の企業が活用し、斬新な新商品が次々と生まれている。 (白井 康彦)

 「こんな面白い商品が出てきたんです」。福井商工会議所の商工相談所次長の嶋田浩昌さんが、クレーム博覧会のホームページの中の「解決博覧会」を見せながら説明してくれた。

 福井洋傘(福井市)が今年一月に発売した「ヌレンザ」。閉じる瞬間に水滴をはじき、いつも乾いた状態で持ち歩けるという傘だ。骨部分は炭素繊維、布地は水をはじく性能が極めて高い繊維。いずれも福井産の素材を用いている。

 同社は従業員十人。クレーム博覧会に寄せられた「ぬれた傘を持って混雑した電車に乗ると他人に迷惑をかけてしまう。閉じた瞬間に乾いてくれる傘があればありがたい」という声に見事応え、消費者に大歓迎される傘を開発した。

 注文生産で値段は約三万円と高い。それでも、生産が注文に追いつかない。橋本平吉社長は「遠方から買いにくる人もいます。今はお客さまに二、三カ月待ってもらっています」と話す。

 「解決博覧会」には、ほかにも▽カビの発生を極力抑える機能を標準装備したシステムバスルーム(もとになったクレーム=風呂場のカビ対策が自分でカビを削り取るだけなのはおかしい)▽宿泊体験できるモデルハウス(家は最も高価な買い物なのに「試し住み」できない)▽点灯した状態でも楽に自転車がこげる自転車ライト(ライトを付けたときに楽にこげる自転車がほしい)−など新商品がずらりと掲載されている。

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 福井県は繊維や眼鏡製造などの下請けの中小企業が多い。だが、親会社が海外に生産拠点を移す動きを強め、中小企業は最終製品を作ることを迫られた。その中、「製造技術はあるが、消費者が求めるものが分からない」という地場産業の悩みを解決しようと、商工会議所の職員らが考えだしたのがこの事業だ。開始は二〇〇三年六月。

 クレームは、個別商品やサービスに対する単なる苦情ではなく、「こんな具合に困っているから、こんな商品を開発してほしい」といった提案型を求め、消費者が無料で投稿できるようにした。

 企業はクレームを検索するために千五十円の入場料を納める。このうち五百円は五票分の投票権で、自社のビジネスに役立つと判断したクレームに投票する。

 一方、消費者は一票当たり百円の報酬を得る。ただ、必要経費の三百円は差し引かれる。例えば二百人から投票があると、手取りで一万九千七百円の報酬となる。

 〇三−〇四年度に寄せられたクレームは合計九千五百八十七件。NHKのテレビ番組や経済雑誌などでも紹介され、全国から集まっている。参加企業は約千社。嶋田さんは「地元の中小企業より、むしろ全国的な大企業が熱心な感じ」と話す。

 事業は嶋田さんと女子職員の二人で主に運営しているが、各地の経済団体が視察に訪れ、海外からも問い合わせがある。

 消費者のクレームは新商品開発のための「宝の山」−。昔から言われてきたことが、この事業であらためて浮き彫りにされたと言えそうだ。

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 本年度のクレームの募集と公開は六月一日から。アドレスはHttp://Www.Kujou906.Com


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050414/ftu_____kur_____000.shtml