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2005年04月06日(水) 14時38分

市販の「生カード」、偽造グループが悪用読売新聞

 今年1月に警視庁が摘発したキャッシュカード偽造事件で、犯行グループは、インターネットで大量に購入した「生カード」と呼ばれる市販のカードに、他人のキャッシュカードから読み取った口座番号などのデータを転写して、現金自動預け払い機(ATM)から預金を引き出していた。

 銀行名や口座名義人などが印刷・印字されていない真っさらの生カードは、銀行の窓口では使えないが、ATMではチェックされない点が悪用された。キャッシュカードの“欠点”が改めて浮き彫りになった。

 プラスチック板に、磁気テープをはり付けただけの生カードは、キャッシュカードのほか、レンタルビデオ店の会員証、一般企業の社員証などに使われる一方で、偽造キャッシュカードの原板として悪用されていると指摘されていた。しかし、その実態が、摘発された事件の中で裏付けられたのは初めて。

 警視庁などの合同捜査本部の調べによると、事件の主犯格の藤原高広被告(34)らは昨年9月と10月の2回、大阪市のコンピューター機器開発会社から、インターネットを通じて、計520枚の生カードを購入。ゴルフ場の貴重品ロッカーから盗んだキャッシュカードをスキミング(データの読み取り)し、そのデータを生カードに転写して偽造カードを作製し、次々と預金を引き出していた。

 藤原被告らは一昨年夏ごろから、知人の中国人に誘われ、中国人キャッシュカード偽造グループの犯行に加担していた。この中国人グループは、飲食店などで盗んだ盗難カードに、藤原被告らがスキミングで得たデータを上書きして預金を引き出していたという。

 しかし、中国人グループが昨年7月に突然、姿を消したため、藤原被告らは自分たちだけで犯行を継続するため、生カードの使用を思い付いたとみられる。

 藤原被告らが生カードを購入した会社は、約3年前から生カードのネット販売を始めていた。100枚セットで1万2600円で販売しており、カードの磁気データを読み取る「カードリーダー」や、データを転写する「カードライター」などの周辺機器の製造・販売も行っている。

 生カードの販売そのものは違法ではなく、同社は読売新聞の取材に対し、「社員証を作る企業などに販売してきた。まさか悪用されるとは思わなかった」と話しているが、販売先や使途については事実上、ノーチェックだった。

 クレジットカードは、商品購入や飲食費支払いの際、店員にカードを提示しなければならないが、キャッシュカードの場合、生カードでも磁気テープ部分にデータが入力されていれば、ATMから預金引き出しが可能。ATM内部には使用されたカードを映像で保存する機能が付いているが、引き下ろし段階で生カードを排除するのは、技術的に困難という。

 このため、大手都銀などは偽造防止のため、キャッシュカードに集積回路(IC)を組み込むICカード化を進めている。しかし、銀行関係者によると、ICカードに対応できるATMはまだ少なく、普及には時間がかかるのが実情だ。

 ◆キャッシュカード偽造事件=神奈川県内の2か所のゴルフ場などで、貴重品ロッカーに入れられた利用客のキャッシュカードがスキミングされ、預金が引き出された。被害者は300人以上、被害総額は判明分だけで3億円以上にのぼる。藤原被告や、系列ゴルフ場のマスターキーを持ち出した元ゴルフ場支配人遠山秀樹被告(51)ら日本人と中国人計12人が逮捕、起訴された。
(読売新聞) - 4月6日14時38分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050406-00000108-yom-soci