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2005年04月05日(火) 00時00分

太平燕(熊本県熊本市)読売新聞


紅蘭亭の太平燕(735円)。鶏ガラと豚骨が半々のスープでコクがある。

 熊本名物といえば普通は馬刺し、辛子蓮根が思い浮かぶが、よそではほとんど知られていない名物料理がある。給食にもでるほどポピュラーな春雨料理、太平燕(たいぴーえん)だ。栄養のバランスがよく、低カロリーなため、最近は健康食としても注目されている。

野菜たっぷりカロリー控えめ 華僑が伝えたヘルシーフード

 太平燕はいわば春雨スープで、白菜やタケノコなどの野菜に豚肉、イカ、エビなどを炒めた具を入れる。それに加え必ず、揚げたゆで卵「虎皮蛋(フーヒータン)」が入る。熊本市内では昭和の初めから中華料理店や家庭で食べられてきた。昭和40年頃からは給食にも取り入れられ、今も2か月に1度くらいの頻度ででるそうだ。

 「県外にないとは思いもよらなかったです。コンビニにもあるんですから」。ホームページ「熊本太平燕倶楽部」をたちあげ、全国に太平燕を紹介した斉藤誠喜さんが言うように市民は全国どこにでもあるものだと思っていた。

 市内にある創業70年の中華料理店、紅蘭亭の葉山栄司常務にそのルーツを聞いた。「明治33年(1900)に中国から来日した曽祖父たちが、昭和9年に中華料理店を開いた頃から太平燕は定番メニューです。本場の太平燕は、祝いの席などで食べる肉団子入りスープですが、熊本の太平燕はこれに春雨を加ええて個食にするなど、華僑(かきょう)たちが身近にあった食材でアレンジしたふるさとの味なんです」。

 平成16年3月に九州新幹線「つばめ」が開業する際、“つばめ”にひっかけて「太平燕を熊本の郷土料理として広めよう」と、潮谷義子知事や元の飲食、観光関係者が参加する「燕の会」を立ち上げたのが市内に住む友住容子さん。家庭の太平燕を味見させてもらと友住さん宅に伺った。



ゆで卵を素揚げする。表面のシワにスープがからまっておいしい

 友住さんはまず虎皮蛋作りにとりかかった。高温の油にゆで卵を放り込む。ものの1分で表面に虎の模様が浮き出てきた。「このしわにスープがからまっておいしいのよ」。次にフライパンでニンニク、ショウガ、ネギなどを炒め、香りが出てきたところで豚肉、野菜、エビなどの具を加え、塩だけで味を調える。「少なか人数ならここにスープと春雨を入(い)るっと、フライパンいっちょでできるとよね。ばってん今日は7人分だけん」と、春雨を入れた鶏ガラスープの中に炒めた具を入れ、少し煮込んででき上がり。

 白濁したスープを一口すする。さっぱりしているが、具からだしが出ていてコクもある。春雨はこしがありぷりぷりとした食感。緑豆からとれるでんぷん100%の春雨なので、通常の春雨よりのびにくい。野菜と春雨にはスープがしみ込み、噛むほどに旨みが広がる。塩だけの味付けなので野菜や肉、海鮮など素材そのものの味が際立っている。

 「栄養バランスがよくお腹にも優しいので風邪をひいた時や離乳食、高齢者の食事などにおすすめです。カロリーも少なかけん夜食にもよかよ」と友住さん。

 東京にある熊本県のアンテナショップ、銀座熊本館でも太平燕を販売している。平成16年度の売り上げは前年の約3倍。熊本の“つばめ”は全国へと広まりつつある。(文/中 文子 写真/藤山寛治)



紅蘭亭(本店)
 電話096・352・7177/11時30分〜21時30分/無休/市電通町筋から徒歩3分(付近に有料Pあり)

熊本城
 電話096・352・5900/8時30分〜17時30分(4月〜10月)/無休/500円/市電熊本城前から徒歩5分(城内に有料Pあり)

夏目漱石内坪井旧居
 電話096・325・9127/9時30分〜16時30分/月曜(祝日の場合は翌日)休/200円/交通センターから上熊本駅行きまたは柿原行きバス5分、壺井橋下車徒歩2分/市内中心部から車約5分(Pあり)

水前寺成趣園
 電話096・383・0074/7時30分〜18時(3月〜11月)/無休/400円/市電水前寺公園前から徒歩3分/市内中心部から車約20分(付近に有料Pあり)

旅行読売2005年5月号より

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/gourmet/fudoki/fd050501.htm