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2005年03月24日(木) 00時00分

ヤミ金融 新たな手口 東京新聞

 貸金業者がお金を貸す際に、「保証料」という名目で多額な“上乗せ利息”を取るケースが関西地方で出ている。出資法では金利の上限を規制しているが、保証料は対象外。法のすき間を突くヤミ金融の新たな手口とみられ「保証料ヤミ金」という呼び名も。返済に困る多重債務者は、それでも手を出してしまう。全国に広がる恐れもあり、多重債務者の救済活動をしている弁護士や司法書士らは「保証料にも法規制が必要だ」と訴えている。 (白井 康彦)

 大阪府内の会社員Aさん(52)は、家族に内証の借金が膨れあがり、貸金業者十三社から、約五百万円に達していた。返済のために他から借りる悪循環の結果だった。

 精神的に追いつめられ、昨年十一月、首つり自殺を図ったが、幸いロープが切れて命拾いし、借金の清算を決意して司法書士の事務所を訪れた。頭に包帯を巻いたAさんに司法書士は驚いたという。

 司法書士が借金の中身を点検すると、借りた先に「保証料」を取る金融会社が五社含まれていた。いずれもスポーツ紙の広告を見て借りたという。そのうちの一社・B社との取引をみると、一週間単位の短期間で、借金、返済を繰り返し、そのたびに保証料を取られていた。

 最初の取引は、昨年七月。十万円を出資法上限金利の年29・2%で借りて、一週間後に一括返済する契約を結んだ。だが、一万八千円の保証料が天引きされて、Aさんが実際に受け取った額は八万二千円だった。

 B社の社員は「返済ができなくなったときは、保証会社のC社が肩代わりする」と説明した。

 Aさんは、八日後に金利を含め十万千二百円を一括返済したが、他社への返済に追われていたため、その場であらためて十万円を借り、保証料を差し引いた八万二千円を受け取った。以後、ほぼ一週間ごとに、十万千二百円の返済と八万二千円の受け取りを繰り返した。

 司法書士は「通常、保証会社は契約を審査したうえで保証するものだが、このケースでは審査がないままB社の人間が保証料と称する金の受け取りを行い、領収書も手渡した。B社とC社は実質的に同一業者といえる」と、問題点を指摘する。

 保証料の分を実質的な利息とみれば、年1000%を超えることになり「極めて悪質な脱法行為だ」と憤る。

 AさんはB社やC社を相手に、損害賠償請求の訴訟を起こすつもりだ。

 B社は「保証しているのは完全な別会社だから保証料は利息とみなされない。出資法に違反せず合法だ」と反論する。

    × ×

 常識的には借りない契約でも、わらをもすがる思いで飛びついてしまうのが多重債務者の心理。それにつけ込んだ「保証料ヤミ金」の手口は二〇〇二年ごろに登場したようだ。多重債務者を救う活動をしている市民団体「大阪いちょうの会」の事務局長を務める田中祥晃さんは「同様な手口は二十−三十社ぐらいがやっているようだ」と話す。

 昨年九月には、大阪府内の男女四人が府内の貸金業者など四社を「保証料ヤミ金」だとして総額約三百三十五万円の支払いを求める訴訟を大阪簡裁に起こした。

 融資には法律の上限金利があり、貸金業者については貸金業規制法がある。一方、保証料には上限を定める法規制はないうえ、保証会社を規制する法律もない。

 そこを突いたのが保証料ヤミ金。ヤミ金融の新手口が大阪から全国に広がることが多い事情もあり、弁護士や司法書士らは「こんな手口がやれないように法改正をしてほしい」と話す。

 困っているのは、大阪府の貸金業対策課も同じ。こうした手口の業者に関する相談は多いが、現在の法制度では業者を行政処分しにくい面があると言う。「保証料や保証会社についての法整備が必要だと金融庁に伝えてある」と説明している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050324/ftu_____kur_____001.shtml