悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年03月15日(火) 00時00分

小泉武夫の食味学 … 深川めし読売新聞


アサリの風味が香る、深川宿の炊き込みの深川めし(1890円)

 深川(今は江東区に入る)には、アサリやハマグリなどの貝類を専門に漁(あさ)る貝漁師の家が沢山あって、それを売ってもいた。そこで入手したアサリで料理したところから「深川めし」となった。

 江戸時代から明治、大正を経て昭和初期まで、今の浅草の田原町あたりには、深川めしを食べさせる屋台が数多く出ていたという。

 当時の料理法は、豆腐、油揚げ、ネギを刻んでそこにアサリのむき身を入れ、味噌で煮込んだものを丼飯(どんぶりめし)にぶっかけて食べる簡易なものであった。

 その後、醤油、酒などで煮付けたアサリを飯(めし)に炊き込む、アサリ飯も「深川めし」と称した。

 江戸後期の喜多川守貞の『守貞漫稿』や、式亭三馬の『浮世風呂』を見ると、深川では大量のアサリがとれていたので、とても安価で、従って深川めしは江戸庶民向けの格好の食べものだった、と記されている。

 この深川めしには、江戸庶民の知恵も織り込まれていた。アサリやシジミは大変滋養成分に富んだ食材で、これを食すると疲労を去り、また肝臓の機能回復が図られる、と昔から言われてきた。

 実はこれは本当のことで、アサリやシジミには疲れをとり、肝機能を活発に蘇(よみがえ)させるタウリン、ベタイン、グリコーゲンなどの活力成分が多い。

 また馬力のもととなる必須アミノ酸を多含し、さらにビタミンA、B、B2、B6、C、D、H、葉酸、コリンなどのビタミン群も豊富で、その上、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、ヨード、亜鉛、銅、コバルトといった、人間が正常体で健康に過ごすために不可欠必須のミネラル群も非常に多く含まれている。

 それを、江戸人は体験で知って、主食の飯とともに美味にしながら体に入れた知恵の深さにはまったく恐れ入る。

旅行読売2005年4月号より

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/gourmet/fudoki/fd050403.htm