悪のニュース記事

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2005年03月07日(月) 00時00分

<電脳人> ドラッグ戦争 有元 美津世 東京新聞

 アメリカでは、処方薬に対して政府の価格規制がない。このため、同じメーカーの同じ薬が、他国の二−五倍で販売されている。

 また、アメリカには国民皆保険制度がなく、大半の人は雇用主を通じて健康保険に加入する。失業者や退職者には保険料が大きな負担となり、国民の15%以上にあたる四千五百万人が健康保険に加入していない。高齢者用には公的保険のメディケアがあるが、治療費の一部をカバーするだけで、処方薬もカバーしていない。高齢者の四割が処方薬をカバーする保険に加入しておらず、持病を抱えた年金生活者にはたいへん重い負担となっている。

 こうした高齢者から強い支持を受けているのが、カナダの処方薬をアメリカの消費者に販売するオンライン薬局だ。国境近くの住民は以前からカナダやメキシコに出向いて処方薬を購入していたが、今やネットを通じて、百万人以上のアメリカ人がカナダから七億ドルにのぼる処方薬を購入しているといわれている。

 アメリカに住む顧客は注文と処方せんをオンライン薬局に送付し、カナダの医師が処方せんと問診票をチェックした後、処方薬を郵送する。一般消費者だけでなく、職員や退職者向け医療費で財政が圧迫されている自治体や労働組合、企業などもオンライン薬局を利用し始めている。

 一方、カナダからアメリカへの処方薬の逆輸入を食い止めたい製薬メーカーは、カナダで値上げをしたり、オンライン薬局への販売を禁止するという対抗策を講じている。それに対し、メーカーを独禁法違反で訴える州や、集団訴訟を起こす高齢者のグループもあり、処方薬をめぐるバトルは激化する一方だ。

 (ありもと・みつよ=コンサルタント、米国在住)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20050307/ftu_____dgi_____002.shtml