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2005年03月05日(土) 02時38分

牛肉輸入 米圧力に政府苦悩 論議足踏み、混迷に拍車産経新聞

 BSE(牛海綿状脳症)の発生で停止されている米国産牛肉の輸入を再開するよう、米政府が対日圧力を強める中、政府内の足並みの乱れが露呈している。鍵を握るのは、国産牛の全頭検査の緩和策を審議する内閣府食品安全委員会の議論の行方だが、スローペースの取り組みに政府内にいらだちが募っているためだ。食品安全委は「中立公正な議論」を譲らぬ構えで、輸入再開は最短でも今夏にずれ込む見通し。今月下旬にはライス米国務長官が来日する予定で、厳しいやりとりが不可避な情勢だ。
 小泉純一郎首相は四日夕、首相官邸で記者団に、輸入再開問題で「日本は科学的知見に基づいて安全、安心重視でやっている。誠意をもって真剣に対応していると説明している」と述べた。
 この問題をめぐっては、島村宜伸農水相が二月二十五日の衆院予算委員会で、「全頭検査は世界の非常識」と発言し混迷に拍車をかけた。島村農水相は「あなたこそ非常識」(北村直人・自民党衆院議員)と集中砲火を浴びた。このため、四日の会見では全頭検査が「世界の常識にあらず」との持論を展開したものの、「(非常識との発言を)けしからんと取られるのは真意ではなく、納めても結構だ」と軌道修正した。
 輸入解禁にあたってはまず、全頭検査の見直し、その後に再開条件について食品安全委の了承を得る。その間にも国民との意見交換などを行う段取りだ。農水省側には、こうした日程が遅れたことで、食の安全を唱える農水省が米側の“標的”とされたとの思いがあるだけに、島村農水相の発言は「米側へのメッセージ」(政府筋)との解説もある。
 一方、米国の圧力をもろに受ける外務省は、輸入再開への道筋を早くつけようと躍起だ。町村信孝外相は先月二十六日の講演で「食品安全委の議論のペースが常識はずれに遅い」と不快感を表明。同省首脳も「なぜ毎日できないか理解に苦しむ」と苦言を呈した。
 米政府の担当官は四日、都内で記者団と懇談し、対日圧力の動きを「われわれが置かれている状況に対するフラストレーションだ」と語った。
 一方、ヤリ玉に挙がっている食品安全委員会は「国民の食の安全に関することで慎重に議論を進めている」と説明。欠席した委員への事後説明も必要などとして、会合は三週間に一度のペースが限界と主張する。食品安全委を所管する棚橋泰文・食品安全担当相も「中立公正な議論を精力的に行っている」と強調する。
 今回の混乱の要因は「食品安全委の審議で、米国に輸入再開時期を明示できないため」(日米関係筋)。IT担当の棚橋氏が食品安全担当相を兼務していることも混乱の一因との指摘もある。
     ◇
 食品安全委員会 食生活を取り巻く環境の変化、国民の食の安全に対する関心の高まりを受けて制定された食品安全基本法に基づき、平成15年7月1日、内閣府に設置された。委員は7人。食品の健康への悪影響などリスクを評価、関係省庁に必要な施策を勧告する。政府は昨年10月、全頭検査から生後20カ月以下の牛の検査を除外することなどを柱とする見直し案を諮問、同委のプリオン専門調査会で議論が続いている。
(産経新聞) - 3月5日2時38分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050305-00000001-san-bus_all