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2005年03月02日(水) 00時00分

ハンセン病政策 医師の妄信、国が便乗 検証会議最終報告 東京新聞

 ハンセン病患者の隔離など誤った政策の原因を調べていた厚生労働省の第三者機関「ハンセン病問題に関する検証会議」(金平輝子座長)は一日、最終報告書を尾辻秀久厚労相に提出した。隔離政策が維持・拡大された原因について、報告書は「療養所長や医師らの妄信や怠慢に国が治安などの観点から便乗した」と指摘。行政の誤りを支えたとして教育、司法、福祉、宗教、報道の責任にも言及した。

 検証会議は、国の誤りを認めた二〇〇一年の熊本地裁判決を受け、被害者や学者、司法関係者らで組織。同省が委託を受けて、二年半をかけてハンセン病元患者が受けた差別の実態や国の責任などをまとめた。報告書は本文八百八十六ページ、実態調査などを加えると計約千五百ページ。国が長期にわたる自らの政策を批判的に検証したのは初めて。

 ハンセン病は外来の治療で治る病気となり、一九六〇年代に各国が隔離政策をやめた。日本では一九五三年に制定された「らい予防法」による隔離政策が九六年まで廃止されなかったが、報告書は「医師の妄信に国が乗った」と位置付け。さらに「旧厚生省が療養所の予算獲得を優先し、法の隔離条項を最大限利用した」などと述べ、医師らが各国の動きを知りながら問題を放置し、行政も誤った政策を続けた責任を指摘した。療養所では断種や妊娠中絶などの非人道的行為が繰り返されたと明示。所内に無目的に保管されてきたと思われる大量の中絶胎児や新生児標本の存在も示した。

 また、差別・偏見を助長した事情として、保健所などが行った、患者を地域から排除する活動を指摘。療養所内での裁判など司法の不当な対応、隔離受容を説いた宗教界や、療養所で働く人を美化した福祉、教育界、報道機関の無関心や不勉強なども挙げた。

 このほか、復帰前の沖縄の療養所の過酷な環境にも言及。韓国、台湾など戦時中の植民地で、民族差別に加え病気でも差別された「二重の人権侵害」、熊本県のホテルの元患者宿泊拒否問題にも触れた。

 今も続く偏見や差別を「放置すれば他の感染症でも同様の悲劇が起こりうる」と警告。予算編成のあり方や患者の権利を守る法整備、人権教育の徹底、患者側に立つ医療、報告書の再発防止策を具体化する委員会設置なども提言した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050302/mng_____sei_____000.shtml