2005年02月28日(月) 00時00分

弁護士名使い多額詐欺 名古屋市内の女性被害 （中日新聞）

　弁護士が債務整理を引き受けたように装い、依頼人から返済金計五千万円をだまし取ったとして、名古屋・北署などは二十八日、詐欺の疑いで元法律事務所事務員、石橋幸男容疑者（４０）＝東京都渋谷区、有印私文書偽造・同行使で逮捕、起訴済み＝を再逮捕する。北署は、多重債務者の借金返済を扱う債務整理業者や組織が一部の弁護士を巧みに操り、着手金や返済金名目で不当な利益を得ている構図が背景にあるとみて、追及する。

　調べでは、石橋容疑者は〇二年二月ごろ、名古屋市北区の女性から知人を介して遺産相続に絡む負債の返済について相談を受けた。当時勤務していた都内の法律事務所の弁護士が仕事を受けたように信じ込ませ、女性から複数の債権者への返済分として現金渡しや口座振り込みで計五千万円をだまし取った疑い。債務整理はせずに、金は自らの借金返済や高級時計の購入などに充てていた。

　石橋容疑者は、勤務先の弁護士が〇二年五月、弁護士法違反の行為があったとして弁護士会から業務停止処分を受けたことを利用し、名古屋市北区の女性から依頼された債務整理や預かり金を別の弁護士に引き継いだという偽の領収書を作ったとして、有印私文書偽造の疑いで北署が一月に逮捕していた。

　石橋容疑者は過去、数カ所の法律事務所を渡り歩き、金融関連会社に勤めた経験もある。同容疑者は「弁護士の名前を利用して依頼人を信じ込ませた」と供述している。

　これまでの調べで、この弁護士は事務所やマンションの賃料、生活費などの一部を債務整理業者に支払ってもらっていることが発覚。北署は、この弁護士の共謀の可能性も捜査していたが、高齢で関与の度合いがあいまいなため、立件を見送ったという。

　北署は、石橋容疑者と業者の関係や、業者の背後に暴力団が存在し、業者とともに特定の弁護士につけこんで名義を悪用し、利益を得ていないかを追及する。

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050228/mng_____sya_____006.shtml