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2005年02月26日(土) 01時46分

2月26日付・読売社説(2)読売新聞

 [生保違法営業]「業界全体の問題と受け止めよ」

 生命保険の新規契約が低迷する中で、営業職員の激しい契約獲得競争が違法営業につながったようだ。

 金融庁は明治安田生命保険に対し、保険業法に違反する営業があったとし、個人保険の契約募集を二週間禁止する業務停止命令を下した。

 明治安田は、営業職員への教育の強化などの対策を講じる方針をすでに公表している。しかし、合併前の明治生命が変額保険の販売で多くの契約者から損害賠償訴訟を起こされ、社会問題に発展したこともある。違法営業を繰り返さないよう体制を抜本的に見直してほしい。

 生命保険協会の宇野郁夫会長は再発防止策について、「個別の会社で対応するしかない」と、業界としての対応に消極的な姿勢を示している。

 業界では、不適切な募集で行政処分を受けるケースが相次いでいる。過去には日本興亜生命などが十二日間の業務停止命令を受けている。今回の処分を業界全体の問題と受け止め、適切な募集方法などの統一ルールを検討すべきだ。

 生保の約款は、契約時点で病歴や現在の健康状態を保険会社に知らせる告知義務が契約者にある、と規定している。ただし、告知義務違反が発覚しても、契約してから二年を超えていれば、保険会社は契約を解除できない。

 明治安田の一部の営業職員はこの規定について、本来なら契約できない病歴を持つ人にも、契約後二年たてば発覚しても無条件で保険金を受け取れるかのように誤解させて、勧誘していた。

 だが、約款は一方で、契約者が保険会社を欺く行為があった場合などには、無期限で保険金の支払いを拒否できるとも規定している。営業職員はこちらを十分に説明していなかった。本店はこの規定を使って保険金支払いを拒否し、契約者との間でトラブルになっていた。

 違法営業を招いた背景には、生命保険業界の厳しい経営環境がある。個人保険全体の保有契約高は七年連続で前年割れの状態が続いている。

 国内生保の苦境とは対照的に、多くの外資系生保の業績は好調だ。低コストと安い保険料をうたい文句にし、医療保険など消費者ニーズに細かく対応した商品を開発している。アメリカンファミリー生命は昨年九月末に個人保険契約件数で国内最大手の日本生命を追い抜いた。

 国内生保は営業職員を大量に採用し、契約を集めてきた。しかし、この営業手法はコストがかさみ、曲がり角を迎えているとの指摘も多い。コストを削減し、消費者ニーズに合致した商品開発という本筋の経営努力が求められている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050225ig91.htm