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前の失敗に懲りて、必要以上に用心することを〈羹（あつもの）に懲りて膾（なます）を吹く〉という。〈蛇にかまれて朽ち縄に怖（お）じる〉〈舟に懲りて輿（こし）を忌む〉も同じ例えだ◆同様なことわざは世界の各地にあるそうだ。必要以上の用心は例が少なくないのだろう。鈍感は困るが、過敏も考えものだ◆群馬県の全公立中学校が生徒の安全確保のため早朝や夜間の部活動を禁止する。大阪・寝屋川市の惨劇を受けての対応。この取り組みに〈羹に…〉の例えは失礼かもしれないが、いささか過剰反応の感がある。朝練・夜練に打ち込んできた生徒はどんな思いだろうか◆「教育的配慮と安全対策のバランスは難しいが安全確保に効果があれば」と県教委。反対意見もあったが、禁止を要請した◆そんな折、公園のキャッチボールをめぐる判決が出た。それたボールが当たって小五の男児が死亡した不幸な一件。キャッチボールをしていた小四の男児二人の両親に六千万円の賠償命令。認定にはいささか違和感も残る◆これで、キャッチボールの禁止など委縮の連鎖が起きなければいいがと思う。